FP1級過去問題 2018年1月学科試験 問44

問44

成年後見制度に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 後見については、複数の成年後見人および法人の成年後見人が認められているが、保佐および補助については、複数の保佐人、補助人や法人の保佐人、補助人は認められていない。
  2. 成年後見人は、成年被後見人が自ら行った法律行為について、日用品の購入その他日常生活に関する行為等を除き、取り消すことができる。
  3. 成年後見人が、成年被後見人に代わって、成年被後見人の居住用不動産の売却や賃貸等をする場合、家庭裁判所の許可を得なければならない。
  4. 成年後見人は、家庭裁判所に報酬付与の審判を申し立てて認められれば、成年被後見人の財産のなかから審判で決められた報酬を受け取ることができる。

正解 1

問題難易度
肢182.8%
肢25.0%
肢38.0%
肢44.2%

解説

  1. [不適切]。保佐および補助についても、後見と同様に複数の保佐人・補助人の選任が認められています。また法人保佐人、法人補助人も認められています(民法876条の2第2項、民法876条の7第2項)。
    法定後見制度において、後見については複数の後見人が認められているが、保佐および補助については複数の保佐人、補助人は認められていない。2015.10-44-3
  2. 適切。成年被後見人が自ら行った法律行為は、本人または成年後見人が取り消すことができます。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為や、成年被後見人が詐術を用いた場合については取消しの対象外とされています(民法9条、民法21条)。
    成年後見人は、成年被後見人が自ら行ったすべての法律行為について、取り消すことができる。2024.1-43-2
    任意後見人は、任意後見契約に定めた事項に関する被後見人の法律行為について、代理権および取消権を有する。2021.5-44-4
    成年後見人は、成年被後見人が自ら行った法律行為について、日用品の購入その他日常生活に関する行為等を除き、取り消すことができる。2015.9-45-1
  3. 適切。成年後見人は、成年被後見人に代わって、その居住の用に供する建物またはその敷地について、売却、賃貸、賃貸借の解除または抵当権の設定等の処分をするには、家庭裁判所の許可を得なければなりません(民法859条の3)。
    成年後見人が、成年被後見人に代わって、成年被後見人の居住用不動産の売却や賃貸等をする場合、家庭裁判所の許可を得なければならない。2019.5-45-2
    成年後見人が家庭裁判所の許可を得ないで成年被後見人の居住用不動産を処分した場合、その処分行為は無効となる。2016.9-44-3
  4. 適切。成年後見人は、家庭裁判所の審判を受けることにより、被後見人の財産の中から相当な報酬を受けることができます(民法862条)。
    成年後見人は、家庭裁判所に報酬付与の審判を申し立てて認められれば、成年被後見人の財産のなかから審判で決められた報酬を受け取ることができる。2015.9-45-4
したがって不適切な記述は[1]です。