FP1級過去問題 2018年1月学科試験 問43

問43

贈与税の配偶者控除に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢において、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。
  1. 配偶者が所有する居住用家屋およびその敷地の用に供されている土地のうち、土地のみについて贈与を受けた者は、贈与税の配偶者控除の適用を受けることができない。
  2. 配偶者から居住用不動産の贈与を受けた者が贈与税の配偶者控除の適用を受けるためには、当該配偶者との婚姻期間が贈与を受けた日の属する年の1月1日において20年以上でなければならない。
  3. 配偶者から居住用不動産の贈与を受けた者について、当該配偶者が贈与をした日の属する年中に死亡した場合は、当該贈与財産は相続税の課税対象となり、贈与税の配偶者控除の適用を受けることができない。
  4. 配偶者から店舗併用住宅の持分の贈与を受けた場合、贈与を受けた持分の割合が、その家屋の全体の面積のうち居住用部分の面積の占める割合の範囲内であれば、その持分の贈与はすべて居住用部分として贈与税の配偶者控除の適用を受けることができる。

正解 4

問題難易度
肢15.7%
肢222.1%
肢37.2%
肢465.0%

解説

  1. 不適切。贈与税の配偶者控除の対象となる居住用不動産は、専ら居住の用に供する土地もしくは土地の上に存する権利または家屋で国内にあるものをいいます。夫から配偶者が居住するための土地のみの贈与を受けた場合でも、贈与税の配偶者控除の適用を受けることができます(相基通21の6-1)。
    夫が所有する居住用家屋およびその敷地の用に供されている土地のうち、妻が土地のみを贈与により取得した場合、妻は贈与税の配偶者控除の適用を受けることができない。2022.5-43-2
    夫が所有する土地の上にあって子が所有する二世帯住宅でその子と同居している夫妻において、妻が夫から当該土地の贈与を受けた場合、贈与税の配偶者控除の適用を受けることができる。2020.9-42-1
    妻が夫から、夫が所有している居住用不動産のうち敷地部分のみの贈与を受けた場合、贈与税の配偶者控除の適用を受けることはできない。2015.9-42-2
    夫から妻に対して、2025年4月に居住用不動産(相続税評価額2,000万円)の贈与が行われ、2025年11月に贈与者である夫が死亡した場合、妻は贈与税の配偶者控除の適用を受けることができない。2014.1-42-1
  2. 不適切。贈与年の1月1日時点ではありません。贈与税の配偶者控除における婚姻期間20年以上というのは、婚姻の届出をした日から贈与日までの年数(1年未満切り捨て)で判断します(相続税法令4条の6)。
    夫から居住用不動産の贈与を受けた妻が贈与税の配偶者控除の適用を受けるためには、夫との婚姻期間が贈与を受けた日の属する年の1月1日において20年以上でなければならない。2025.5-43-1
    配偶者から居住用不動産の贈与を受けた者が贈与税の配偶者控除の適用を受けるためには、当該配偶者との婚姻期間が贈与を受けた日の属する年の1月1日において20年以上でなければならない。2022.5-43-1
    妻が2005年6月に婚姻した夫から2025年8月に居住用不動産の贈与を受けた場合、婚姻期間が贈与を受けた日の属する年の1月1日において20年未満であるため、贈与税の配偶者控除の適用を受けることはできない。2015.9-42-1
  3. 不適切。配偶者から居住用不動産の贈与を受けた年にその配偶者が死亡した場合、その年分の贈与税の申告書を提出することにより、贈与税の配偶者控除の適用を受けることができます。贈与税の配偶者控除の適用を受けて控除された部分の金額は、生前贈与加算の対象外となるので、相続税の課税価格に算入する必要がありません。
  4. [適切]。店舗併用住宅の贈与を受けた場合、居住用部分から優先的に贈与を受けたものとして計算します。よって、贈与を受けた持分≦居住用部分の割合であれば、贈与を受けた持分すべてが贈与税の配偶者控除の適用対象となります(相基通21の6-3)。
    夫から妻に対して、店舗併用住宅の贈与が行われた場合、その家屋の専ら居住の用に供している部分の床面積が、家屋の床面積の2分の1以上でなければ、贈与税の配偶者控除の適用を受けることはできない。2025.5-43-4
    配偶者から店舗併用住宅の贈与を受けた場合に、その居住の用に供している部分の面積が、その家屋の面積の過半を占めているときは、その家屋の全部を居住用不動産に該当するものとして本控除の適用を受けることができる。2019.5-42-3
    夫から妻に対して、2025年5月に居住用不動産を取得するための金銭2,000万円の贈与が行われ、その金銭により2026年2月に居住用家屋を取得し、2026年4月に居住を開始した場合、妻は贈与税の配偶者控除の適用を受けることができない。2014.1-42-3
したがって適切な記述は[4]です。