FP1級過去問題 2018年1月学科試験 問49
問49
「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」(以下、「本特例」という)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、各選択肢において、相続人は1人であるものとし、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。- 特定居住用宅地等(200㎡)、特定事業用宅地等(200㎡)、特定同族会社事業用宅地等(200㎡)の3つの宅地を相続により取得した場合、3つの宅地のすべての面積について本特例の適用を受けることができる。
- 被相続人の居住の用に供されていた宅地を被相続人の配偶者が相続により取得した場合、配偶者が当該宅地を相続税の申告期限までに売却したとしても、当該宅地は特定居住用宅地等として本特例の適用を受けることができる。
- 被相続人の居住の用に供されていた宅地を被相続人の子が相続により取得した場合、その子が相続の開始の直前において被相続人と同居していなければ、当該宅地は特定居住用宅地等として本特例の適用を受けることはできない。
- 被相続人が不動産貸付業、駐車場業または自転車駐車場業の用に供していた宅地については、その貸付規模、設備の状況および営業形態を問わず、本特例における貸付事業用宅地等の対象となる。
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正解 3
問題難易度
肢114.5%
肢29.6%
肢356.5%
肢419.4%
肢29.6%
肢356.5%
肢419.4%
分野
科目:F.相続・事業承継細目:7.不動産の相続対策
解説
- 適切。特定事業用宅地等と特定同族会社事業用宅地は合計で400㎡まで、特定居住用宅地等は330㎡が限度面積です。2つを併用すると730㎡まで適用を受けられます。
200㎡+200㎡≦400㎡、200㎡≦330㎡ですので、3つの宅地のすべての面積について本特例の適用を受けられます。特定居住用宅地等(300㎡)、特定事業用宅地等(430㎡)の2つの宅地を相続により取得した場合、2つの宅地の面積の合計が730㎡以下となるため、2つの宅地のすべての面積について本特例の適用を受けることができる。(2021.9-49-1)特定居住用宅地等(300㎡)、特定事業用宅地等(200㎡)、特定同族会社事業用宅地等(200㎡)の3つの宅地を相続により取得した場合、3つの宅地のすべての面積について本特例の適用を受けることができる。(2017.1-49-3)「特定居住用宅地等(280㎡)」と「特定事業用宅地等(440㎡)」を取得した場合、適用対象面積の合計が730㎡以下となるため、両方の宅地のすべての面積について、本特例の適用を受けることができる。(2015.1-49-3)「特定居住用宅地等」と「特定事業用宅地等」の2つの宅地を取得した場合、適用対象面積の調整はせず、それぞれの適用対象面積の限度まで本特例の適用を受けることができる。(2014.9-49-4) - 適切。特定居住用宅地の取得者ごとの要件は以下のようになっています。配偶者は無条件に適用を受けられます。申告期限までの保有要件もありません。被相続人であるAさんの居住の用に供されていた宅地を、相続開始の直前においてAさんと同居していたAさんの子Bさんが相続により取得した場合、子Bさんが相続開始前3年以内に子Bさんまたは子Bさんの配偶者の所有する家屋に居住したことがあったとしても、当該宅地は特定居住用宅地等として本特例の適用を受けることができる。(2022.9-49-1)被相続人の居住の用に供されていた宅地を被相続人の親族でない者が遺贈により取得した場合、その者が被相続人と同居していた等の所定の要件を満たせば、当該宅地は特定居住用宅地等として本特例の適用を受けることができる。(2021.9-49-2)被相続人の居住の用に供されていた宅地を被相続人と同居していた被相続人の子が相続により取得した場合であっても、その子が相続開始前3年以内に国内にあるその者またはその者の配偶者の所有する家屋に居住したことがあれば、当該宅地は特定居住用宅地等として本特例の適用を受けることはできない。(2021.9-49-3)被相続人の事業の用に供されていた宅地を被相続人の配偶者が相続により取得した場合、その配偶者が当該宅地を相続税の申告期限までに売却したとしても、当該宅地は特定事業用宅地等として本特例の適用を受けることができる。(2020.9-49-1)被相続人の居住の用に供されていた宅地を被相続人の親族でない者が遺贈により取得した場合、その者が相続開始の直前において被相続人と同居していたときは、当該宅地は特定居住用宅地等として本特例の適用を受けることができる。(2020.9-49-2)被相続人の貸付の用に供されていた宅地を被相続人の親族が相続により取得した場合、その宅地が建物または構築物の敷地の用に供されているものでなければ、当該宅地は貸付事業用宅地等として本特例の適用を受けることはできない。(2020.9-49-4)被相続人の居住の用に供されていた宅地を被相続人の子が相続により取得した場合、その子が相続の開始の直前において被相続人と同居していなければ、当該宅地は特定居住用宅地等として本特例の適用を受けることはできない。(2018.1-49-3)被相続人の居住の用に供されていた宅地を被相続人と同居していた長男が相続により取得し、長男が相続税の申告期限までに当該宅地を売却した場合、「特定居住用宅地等」として本特例の適用を受けることができない。(2014.9-49-2)被相続人の事業の用に供されていた宅地を配偶者が相続により取得し、その配偶者が相続税の申告期限まで事業を継続しなかった、あるいは当該宅地を売却した場合、当該宅地は「特定事業用宅地等」として本特例の適用を受けることができない。(2014.1-49-2)
- [不適切]。同居していない親族でも「家なき子特例」の要件を満たせば、特例の適用対象となります。被相続人であるAさんの居住の用に供されていた宅地を、相続開始の直前においてAさんと同居していたAさんの子Bさんが相続により取得した場合、子Bさんが相続開始前3年以内に子Bさんまたは子Bさんの配偶者の所有する家屋に居住したことがあったとしても、当該宅地は特定居住用宅地等として本特例の適用を受けることができる。(2022.9-49-1)被相続人の居住の用に供されていた宅地を被相続人の親族でない者が遺贈により取得した場合、その者が被相続人と同居していた等の所定の要件を満たせば、当該宅地は特定居住用宅地等として本特例の適用を受けることができる。(2021.9-49-2)被相続人の居住の用に供されていた宅地を被相続人と同居していた被相続人の子が相続により取得した場合であっても、その子が相続開始前3年以内に国内にあるその者またはその者の配偶者の所有する家屋に居住したことがあれば、当該宅地は特定居住用宅地等として本特例の適用を受けることはできない。(2021.9-49-3)被相続人の事業の用に供されていた宅地を被相続人の配偶者が相続により取得した場合、その配偶者が当該宅地を相続税の申告期限までに売却したとしても、当該宅地は特定事業用宅地等として本特例の適用を受けることができる。(2020.9-49-1)被相続人の居住の用に供されていた宅地を被相続人の親族でない者が遺贈により取得した場合、その者が相続開始の直前において被相続人と同居していたときは、当該宅地は特定居住用宅地等として本特例の適用を受けることができる。(2020.9-49-2)被相続人の貸付の用に供されていた宅地を被相続人の親族が相続により取得した場合、その宅地が建物または構築物の敷地の用に供されているものでなければ、当該宅地は貸付事業用宅地等として本特例の適用を受けることはできない。(2020.9-49-4)被相続人の居住の用に供されていた宅地を被相続人の配偶者が相続により取得した場合、配偶者が当該宅地を相続税の申告期限までに売却したとしても、当該宅地は特定居住用宅地等として本特例の適用を受けることができる。(2018.1-49-2)被相続人の居住の用に供されていた宅地を被相続人と同居していた長男が相続により取得し、長男が相続税の申告期限までに当該宅地を売却した場合、「特定居住用宅地等」として本特例の適用を受けることができない。(2014.9-49-2)被相続人の事業の用に供されていた宅地を配偶者が相続により取得し、その配偶者が相続税の申告期限まで事業を継続しなかった、あるいは当該宅地を売却した場合、当該宅地は「特定事業用宅地等」として本特例の適用を受けることができない。(2014.1-49-2)
- 適切。貸付事業用宅地等の対象となる貸付事業は、不動産貸付業、駐車場業、自転車駐車場業及び準事業です。いずれかに該当すれば事業規模や営業形態等を問わず特例の対象対象となります。被相続人であるEさんが5年前から自転車駐車場業の用に供していた宅地は、その貸付規模、設備の状況および営業形態を問わず、本特例における貸付事業用宅地等の対象とならない。(2022.9-49-3)
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