FP1級過去問題 2019年1月学科試験 問10

問10

各種生命保険の一般的な商品性に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 特約組立型保険は、加入者の契約時年齢に応じて決定される主契約の死亡保障に対し、医療保障、障害保障、介護保障、生存保障などに係る特約を加入者が任意に組み合わせて付加することができる保険である。
  2. 就業不能保険は、被保険者について所定の傷病による入院や在宅療養が一定日数以上継続して就業不能状態と判断された場合に、所定の給付金が支払われる保険であるが、精神疾患による就業不能を保障するものはない。
  3. トンチン性を高めた個人年金保険は、生存保障を重視した保険であり、被保険者が年金支払開始前に死亡した場合は、一般に、死亡に係る一時金の額が払込保険料総額を下回る。
  4. 市場価格調整(MVA)機能を有する変額個人年金保険は、市場金利に応じた運用資産の価格変動が解約返戻金額等に反映され、一般に、解約時の市場金利が契約時と比較して上昇した場合には解約返戻金額は増加する。

正解 3

問題難易度
肢118.7%
肢25.3%
肢367.7%
肢48.3%

解説

  1. 不適切。特約組立型保険は、その名の通り、医療保障、障害保障、介護保障、生存保障などの特約を加入者が任意に組み合わせ可能な保険で、主契約を結ぶ必要はありません。
  2. 不適切。就業不能保険は、病気やケガ等で働けなくなり入院および在宅療養が一定日数以上継続した場合に給付金が支払われる保険です。多くの就業不能保険は、精神疾患による就業不能は保障の対象となりませんが、一部、精神疾患による就業不能も保障の対象となる保険もあります。
    就業不能保険は、入院や在宅療養が一定日数以上継続して所定の就業不能状態に該当した場合に、所定の保険金・給付金が支払われる保険であり、うつ病などの精神疾患による就業不能を保障するタイプの保険もある。2021.9-12-2
  3. [適切]。トンチン型の個人年金保険は、終身年金タイプの商品で、年金受取開始前の死亡保障や解約返戻金を低く抑え、その分を年金原資の運用に回すことで将来もらえる年金額を多くしたものです。このため、被保険者が年金支払開始前に死亡した場合の死亡給付金は払込保険料総額を下回ります。
    変な名前ですが、同じ仕組みの年金制度を考案した17世紀のイタリアの銀行家"ロレンツォ・トンティ"に由来しています。
  4. 不適切。市場価格調整(Market Value Adjustment)は、保険を中途解約した場合の解約返戻金が市場金利に応じて変動する仕組みのことです。市場価格調整機能を有する保険では、解約時の市場金利が契約時と比較して上昇した場合には解約返戻金が減少し、逆に下落した場合には解約返戻金は増加することになります。これは、市場価格調整の仕組みを持つ保険が一部または全部を債券で運用しており、市場金利が高く(低く)なると債券価格が下がり(上がり)、解約返戻金に充てるための売却価格が下落(上昇)するためです。
    市場価格調整(MVA)機能を有する終身保険の解約返戻金は、解約時の市場金利が契約時と比較して上昇していた場合には減少し、低下していた場合には増加することがある。2024.1-11-4
    市場価格調整(MVA)機能を有する外貨建終身保険は、市場金利に応じた運用資産の価格変動が解約返戻金額等に反映され、契約時と比較した解約時の市場金利の上昇は、解約返戻金額の減少要因となる。2023.1-10-4
    市場価格調整(MVA)機能を有する終身保険の解約返戻金は、解約時の市場金利が契約時と比較して上昇した場合には減少し、下落した場合には増加することがある。2021.9-10-4
    市場価格調整(MVA)機能を有する外貨建終身保険は、市場金利に応じた運用資産の価格変動が解約返戻金額等に反映され、契約時と比較した解約時の市場金利の上昇は、解約返戻金額の減少要因となる。2021.5-10-2
    市場価格調整(MVA)機能を有する外貨建て保険は、市場金利に応じた運用資産の価格変動が解約返戻金額等に反映されるため、解約時の市場金利が契約時と比較して上昇した場合には外貨建ての解約返戻金額は増加する。2016.9-12-2
    市場価格調整(MVA)がある終身保険は、市場金利に応じた運用資産の価格変動が解約返戻金額等に反映されるため、解約時の市場金利が契約時と比較して上昇した場合には解約返戻金額は減少し、下落した場合には増加することがある。2015.1-10-4
したがって適切な記述は[3]です。