FP1級過去問題 2019年5月学科試験 問7

問7

中小企業退職金共済制度(以下、「中退共」という)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、本問において、事業主には同居の親族のみを使用する事業主等は含まないものとし、従業員には短時間労働者は含まないものとする。
  1. 事業主が新たに中退共に加入する場合、加入月から1年間、掛金月額の2分の1相当額(従業員ごとに5,000円が上限)について国の助成が受けられる。
  2. 既に中退共に加入している事業主が、掛金月額が2万円以下である従業員の掛金を増額する場合、増額月から1年間、増額分の3分の1相当額について国の助成が受けられる。
  3. 退職金の額は、退職者に係る掛金月額、掛金納付月数、退職理由および退職時の年齢に応じて定められている基本退職金に、運用収入の状況等に応じて決定される付加退職金を加えた額となる。
  4. 退職者が退職金について5年間の全額分割払いを選択するためには、退職した日において60歳以上であり、かつ、退職金の額が80万円以上であることが必要である。

正解 4

問題難易度
肢116.8%
肢213.8%
肢318.8%
肢450.6%

解説

  1. 不適切。事業主が新たに中退共に加入する場合、加入後4カ月目からの1年間、掛金月額の2分の1相当額(従業員ごとに5,000円が上限)について国の助成が受けられます。加入月から1年間ではありません。
  2. 不適切。中退共に加入している事業主が、掛金月額18,000円以下の従業員の掛金を増額する場合、増額した月から1年間、増額分の3分の1相当額について国の助成が受けられます。本肢は「掛金月額が2万円以下」としているので誤りです。
    既に中退共に加入している事業主が、掛金月額が2万円未満である被共済者(従業員)の掛金を増額した場合、増額分の3分の1を増額月から1年間、国が助成する。2021.9-6-1
    共済契約者である事業主(同居の親族のみを使用する事業主等を除く)が掛金月額1万8,000円以下の従業員の掛金を増額する場合、増額月から1年間、増額分の2分の1相当額について国の助成が受けられる。2017.1-6-2
  3. 不適切。退職金の額は、基本退職金と付加退職金との合算した金額になりますが、基本退職金は掛金月額と掛金納付月数により定められた金額で、退職理由(自己都合・事業主都合)や退職時の年齢には関係しません。付加退職金は、運用収入の状況等に応じて基本退職金に上積みされるものです。
    退職金の額は、被共済者に係る掛金月額と掛金納付月数に応じて定められている基本退職金に、運用収入の状況等に応じて定められる付加退職金を加えた額となる。2023.9-6-3
    退職金の額は、被共済者(従業員)に係る掛金月額および掛金納付月数に応じて定められている基本退職金に、運用収入の状況等に応じて決定される付加退職金を加えた額となる。2021.9-6-3
  4. [適切]。退職金は、基本的に退職時に一時払いで支払われますが、退職した日に60歳以上で退職金の額が80万円以上であれば5年間、60歳以上かつ150万円以上であれば10年間の全額分割払いを選択することができます。なお、分割払いする部分が上記の金額以上であれば一部分割払いも選択できます。
    退職金の支払方法について、10年間の全額分割払いを選択するためには、退職した日において60歳以上であり、かつ、退職金の額が300万円以上であることが必要である。2017.1-6-3
したがって適切な記述は[4]です。