FP1級過去問題 2019年5月学科試験 問19

問19

債券投資とイールドカーブに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 残存期間の短い債券の利回りよりも残存期間の長い債券の利回りのほうが高く、イールドカーブが右上がりの曲線となる状態を、パー・イールドという。
  2. 残存期間の短い債券の利回りよりも残存期間の長い債券の利回りのほうが低く、イールドカーブが右下がりの曲線となる状態を、逆イールドという。
  3. 残存期間の短い債券の利回りよりも残存期間の長い債券の利回りのほうが高い状態のとき、両者の差が縮小することを、イールドカーブのスティープ化という。
  4. イールドカーブが逆イールドの状態にあるとき、時間の経過に伴って債券価格が上昇し、キャピタルゲインが期待される効果を、ロールダウン効果という。

正解 2

問題難易度
肢15.9%
肢278.3%
肢310.0%
肢45.8%

解説

  1. 不適切。縦軸を利回り、横軸を残存期間として、描かれる曲線のグラフをイールドカーブといいます。残存期間の短い債券の利回りよりも残存期間の長い債券の利回りのほうが高くイールドカーブが右上がりの曲線となる状態を、順イールドといいます。パー・イールドとは、価格が額面に等しい債券(パー債)の最終利回りを示すイールドカーブです。
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  2. [適切]。残存期間の短い債券の利回りよりも残存期間の長い債券の利回りのほうが低く、イールドカーブが右下がりの曲線となる状態を、逆イールドといいます。
  3. 不適切。順イールドのときに、残存期間の短い債券と残存期間の長い債券の利回りの差が縮小し傾きが小さくなることを、イールドカーブのフラット化といいます。逆に、曲線の傾きが大きくなることをスティープ化といいます。
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  4. 不適切。ロールダウン効果は、順イールド状態のときに債券を保有しているだけでその債券の市場価格が上昇していく現象です。債券投資においてキャピタルゲインを得るための重要な要素のひとつとなっています。
    【参考】
    仮に、その他の条件が同じであるイールドカーブ上の2つの債券があったとします。
    1. 残存期間10年・利回り3.0%
    2. 残存期間9年・利回り2.8%
    あなたがaの債券を購入したとすると、1年後には残存期間9年・利回り3.0%の債券を保有していることになります。順イールドでありカーブが変化しなければ、市場では9年債が2.8%で取引されていますから、あなたが保有している債券は年0.2%だけ高い価値を有していることになります。この利回りの差の分だけあなたが保有している債券の価格は高く売れることになります。このように、満期に向かって債券の残存期間が短くなる過程で債券価格が上昇するメカニズムが「ロールダウン効果」です。
したがって適切な記述は[2]です。