FP1級過去問題 2019年5月学科試験 問29

問29

個人事業税に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 個人事業税の納税義務者は、原則として、その年分の所得の金額および納付すべき税額を記載した申告書の提出とその納税を翌年の3月15日までにしなければならない。
  2. 事業を行う個人が、前年分の所得税について青色申告書を所定の申告期限内に提出している場合、個人事業税における所得の金額の計算上、青色申告特別控除として最大65万円が控除される。
  3. 個人事業税における所得の金額の計算上生じた損失の金額は、所定の要件を満たせば、前年度に繰り戻して個人事業税の還付を受けるか、翌年度以後3年間にわたって繰り越すことができる。
  4. 個人事業税は、原則として、納期の開始の日または実際に納付した日の属する年分の所得税における所得の金額の計算上、必要経費に算入することができる。

正解 4

問題難易度
肢112.7%
肢225.7%
肢317.0%
肢444.6%

解説

  1. 不適切。個人事業税は国や都道府県が納付税額を計算し、納税者に通知する賦課納税方式です。所得税の確定申告を基に計算された納付書が課税年度の翌年8月に通知され、8月と11月の2期に分けて納付します。
    個人事業税の納税義務者は、原則として、その年分の所得および納付すべき税額を記載した申告書の提出とその納税を翌年の3月15日までにしなければならない。2021.5-30-4
    個人事業税の納税義務者は、原則として、所得金額および税額を記載した申告書の提出とその納税を翌年の3月15日までにしなければならない。2016.1-30-4
  2. 不適切。個人事業税では青色申告特別控除の適用がないため、最大65万円の控除はありません。確定申告書の事業所得・不動産所得の金額に65万円を加算した金額から、事業主控除として一律290万円を控除した金額が個人事業税の課税標準となります。
    個人事業税の課税標準は、原則として、当該年度の初日の属する年の前年中における個人の事業の所得によるが、当該個人が青色申告者であっても、個人事業税における所得の金額の計算上、青色申告特別控除は適用されない。2023.9-29-1
  3. 不適切。個人事業税計算上の所得がマイナスになった場合、青色申告者は、所得税における純損失の繰越控除と同じように、その純損失の額を翌年度以後3年間にわたって繰り越してその年の所得から控除することができます。しかし、所得税のように純損失を前年度に繰り戻して税額還付を受ける制度はありません。
    所得税の青色申告者は、個人事業税における所得の金額の計算上生じた損失の金額を翌年度以後3年間にわたって繰り越すことができるが、損失の金額を前年度に繰り戻すことはできない。2023.9-29-4
  4. [適切]。個人事業税は、支払った全額を①納期の開始の日または②実際に納付した日の属する年分の必要経費に算入することができます。2023年分の所得に関する事業税は2023年の必要経費になるのではなく、実際に支払った2024年の必要経費になるということです。
したがって適切な記述は[4]です。