FP1級 2019年5月 応用編 問51
問51
Mさんは、Aさんに対して、Aさんが定年退職後もX社の再雇用制度を利用して雇用保険の一般被保険者として同社に勤務し続けた場合の雇用保険からの失業等給付について説明した。Mさんが説明した以下の文章の空欄①~⑧に入る最も適切な語句または数値を、解答用紙に記入しなさい。- 「Aさんが、X社の再雇用制度を利用して60歳以後も引き続き同社に勤務し、かつ、60歳以後の各月(支給対象月)に支払われた賃金額(みなし賃金額を含む)が60歳到達時の賃金月額の(①)%相当額を下回る場合、Aさんは、所定の手続により、原則として、高年齢雇用継続基本給付金を受給することができます。
仮に、Aさんに対して支給対象月に支払われる賃金額を28万2,000円、60歳到達時の賃金月額(みなし賃金日額に30を乗じて得た額)を47万円とした場合、Aさんに支給される高年齢雇用継続基本給付金の額は、1支給対象月当たり(②)円となります。
なお、高年齢雇用継続基本給付金には、支給限度額や最低限度額が設けられており、これらの額は、原則として毎年(③)月1日に改定されます」 - 「Aさんが、X社の再雇用制度を利用して60歳以後も引き続き同社に勤務し、かつ、65歳到達前に退職して求職を希望する場合、Aさんは、所定の手続により、失業している日について基本手当を受給することができます。
基本手当の日額は、原則として、被保険者期間として計算された最後の(④)カ月間に支払われた賃金(賞与等を除く)の総額を基に算出した賃金日額に、当該賃金日額に応じた給付率を乗じて得た額となります。なお、賃金日額には、下限額および受給資格者の年齢区分に応じて上限額が設けられています。また、賃金日額に応じた給付率は、受給資格に係る離職日において60歳以上65歳未満である受給資格者の場合、100分の45から100分の(⑤)の範囲です。
Aさんが基本手当の支給を受けることができる最大の日数(所定給付日数)は、Aさんが特定受給資格者等に該当しない場合、(⑥)日となります。
他方、Aさんが65歳の誕生日の属する月の末日でX社を退職して失業している場合、Aさんは、所定の手続により、(⑦)を受給することができます。Aさんに対して支給される(⑦)の額は、最大で基本手当日額に(⑧)日を乗じて得た額となります」
①% |
②円 |
③月 |
④カ月 |
⑤ |
⑥日 |
⑦ |
⑧日 |
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正解
① 75(%) |
② 42,300(円) |
③ 8(月) |
④ 6(カ月) |
⑤ 80 |
⑥ 150(日) |
⑦ 高年齢求職者給付金 |
⑧ 50(日) |
分野
科目:A.ライフプランニングと資金計画細目:4.社会保険
解説
〔①について〕高年齢雇用継続基本給付金は、以下の要件を満たす場合に支給されます。
- 60歳以上65歳未満の雇用保険の一般被保険者であること
- 60歳以降の賃金月額が原則として60歳到達時の賃金月額の75%相当額を下回ること
- 雇用保険のみなし算定基礎期間(被保険者であった期間)が5年以上あること
〔②について〕
高年齢雇用継続基本給付金の支給額は、支給月の賃金月額に支給率を乗じた額となりますが、この支給率は賃金の低下率により定められています。

282,000円×15%=42,300円
よって、正解は42,300(円)です。
低下率75%と61%の間は支給率の計算が困難なので試験では出題されないでしょう。つまり、常に「×15%」で計算すると覚えておけばOKということです。
〔③について〕
雇用継続給付である介護休業給付金および高年齢雇用継続給付金、育児休業給付金には、支給限度額が設定されており、毎年8月1日に改定されます。在職老齢年金の支給停止調整開始額の改定は毎年4月1日なので、しっかり押さえ分けておきましょう。
よって、正解は8(月)です。
〔③、④について〕
雇用保険の基本手当日額は、過去6カ月間に支払われた賃金総額を180で除して算出した賃金日額に、賃金日額に応じた所定の率を乗じて決定されます。賃金日額ごとの率は50%(60歳以上65歳以上の人は45%)~80%です。
賃金日額=過去6カ月間に支払われた賃金総額(賞与等を除く)180
基本手当日額=賃金日額×50%(45%)~80%
よって、③は6(カ月)、④は80(%)が正解です。
〔⑥について〕
自己都合退職等の一般離職者の所定給付日数は、算定基礎期間(被保険者であった期間)により以下の通りになります。

よって、正解は150(日)です。
〔⑦について〕
高年齢求職者給付金は、65歳以上の高年齢被保険者が離職して失業の状態になり一定の条件を満たしている場合に一般被保険者の基本手当に代わり、支払われる給付金です。
よって、正解は高年齢求職者給付金です。
〔⑧について〕
高年齢求職者給付金は、算定基礎期間(被保険者であった期間)が1年のときは基本手当日額の50日分、1年未満のときは基本手当日額の30日分が一時金として支給されます。
Aさんが再雇用制度を利用して60歳から65歳まで勤務した場合、被保険者であった期間は1年以上ですから、高年齢求職者給付金の額は50日分となります。
よって、正解は50(日)です。

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