FP1級 2019年5月 応用編 問54
Aさん(50歳)は、余裕資金を利用し、上場株式への投資を行いたいと考え、2019年1月に証券会社で特定口座(源泉徴収選択口座、株式数比例配分方式)を開設した。Aさんは、同業種のX社とY社に興味を持っており、両社の財務データ等を参考にして投資判断を行いたいと考えている。
そこで、Aさんは、ファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。
〈X社とY社の財務データ〉(単位:百万円)〈X社とY社の株式に関するデータ〉
そこで、Aさんは、ファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。
〈X社とY社の財務データ〉(単位:百万円)〈X社とY社の株式に関するデータ〉
- X社
- 株価4,800円、発行済株式総数875百万株、配当金総額77,000百万円
- Y社
- 株価2,200円、発行済株式総数800百万株、配当金総額24,000百万円
- 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。
問54
《設例》の〈X社とY社の財務データ〉および〈X社とY社の株式に関するデータ〉に基づき、Mさんが、Aさんに対して説明した以下の文章の空欄①~⑥に入る最も適切な語句または数値を、解答用紙に記入しなさい。なお、計算結果は表示単位の小数点以下第3位を四捨五入し、小数点以下第2位までを解答すること。また、問題の性質上、明らかにできない部分は「□□□」で示してある。- 「X社とY社の財務データについて比較検討すると、売上高はY社がX社の1.5倍以上あるものの、総資産経常利益率ではX社の値が約(①)%、Y社の値が約□□□%であり、X社の資産効率のほうがよいといえます。その要因を、売上高経常利益率と総資産回転率の2指標に分解して比較すると、前者についてはX社の値が約□□□%、Y社の値が約(②)%、後者についてはX社の値が約(③)回、Y社の値が約□□□回であり、X社のほうが売上高に対する経常的な利益の割合がより高いことがわかります」
- X社とY社の財務的な安定性について、事業利益を金融費用で除して算出する(④)で比較すると、X社の値が約46.73倍、Y社の値が約13.44倍であり、X社のほうが財務的な余裕があるといえます」
- 「X社とY社を株主への利益還元の度合いを測る指標である配当性向で比較すると、X社の値が約(⑤)%、Y社の値が約□□□%であり、X社のほうが株主への利益還元の度合いが高いといえます。また、配当利回りは、X社株式が約□□□%であるのに対してY社株式は約(⑥)%となっています」
①% |
②% |
③回 |
④ |
⑤% |
⑥% |
正解
① 7.07(%) |
② 2.89(%) |
③ 0.87(回) |
④ インタレスト・カバレッジ・レシオ |
⑤ 42.78(%) |
⑥ 1.36(%) |
分野
科目:C.金融資産運用細目:5.株式投資
解説
〔①について〕
総資産経常利益率は、企業が集めた総資本に対する経常利益の割合で「経常利益÷総資産×100」の算式で求めます。X社の経常利益は389,000、総資産は5,500,000なので、総資産経常利益率は、
389,000÷5,500,000×100=7.072…%
(小数点以下第3位四捨五入)7.07%
よって、正解は7.07(%)となります。
〔②について〕
売上高経常利益率は、売上高に対する経常利益の割合で「経常利益÷売上高×100」の算式で求めます。Y社の経常利益は214,000、売上高は7,400,000なので、売上高経常利益率は、
214,000÷7,400,000×100=2.891…%
(小数点以下第3位四捨五入)2.89%
よって、正解は2.89(%)となります。
〔③について〕
総資産回転率は、総資産に対する売上高の割合で「売上高÷総資産」の算式で求めます。X社の売上高は4,800,000、総資産は5,500,000なので、総資産回転率は、
4,800,000÷5,500,000×100=0.872…回
(小数点以下第3位四捨五入)0.87回
よって、正解は0.87(回)となります。
〔④について〕
インタレスト・カバレッジ・レシオは、借入金などの利息の支払い能力を評価するための指標で、事業利益が金融費用(支払利息・割引料)の何倍であるかを以下の算式で求めます。
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)=事業利益÷金融費用
事業利益を金融費用で除すという記述から、インタレスト・カバレッジ・レシオだとわかります。
よって、空欄にはインタレスト・カバレッジ・レシオが当てはまります。
〔⑤について〕
配当性向は、当期純利益のうちどれだけの金額を配当金の支払いに充てたかを示す指標で「配当金総額÷当期純利益×100」の算式で求めます。X社の配当金総額は77,000、当期純利益は180,000なので、配当性向は、
77,000÷180,000×100=42.777…%
(小数点以下第3位四捨五入)42.78%
よって、正解は42.78(%)となります。
〔⑥について〕
配当利回りは、購入したときの株価に対する年間配当金の割合で「1株あたりの年間配当金÷株価×100」の算式で求めます。
Y社の1株当たり年間配当金は「24,000百万円÷800百万株=30円」、株価は2,200円なので、配当利回りは、
30円÷2,200円×100=1.363…%
(小数点以下第3位四捨五入)1.36%
よって、正解は1.36(%)となります。
総資産経常利益率は、企業が集めた総資本に対する経常利益の割合で「経常利益÷総資産×100」の算式で求めます。X社の経常利益は389,000、総資産は5,500,000なので、総資産経常利益率は、
389,000÷5,500,000×100=7.072…%
(小数点以下第3位四捨五入)7.07%
よって、正解は7.07(%)となります。
〔②について〕
売上高経常利益率は、売上高に対する経常利益の割合で「経常利益÷売上高×100」の算式で求めます。Y社の経常利益は214,000、売上高は7,400,000なので、売上高経常利益率は、
214,000÷7,400,000×100=2.891…%
(小数点以下第3位四捨五入)2.89%
よって、正解は2.89(%)となります。
〔③について〕
総資産回転率は、総資産に対する売上高の割合で「売上高÷総資産」の算式で求めます。X社の売上高は4,800,000、総資産は5,500,000なので、総資産回転率は、
4,800,000÷5,500,000×100=0.872…回
(小数点以下第3位四捨五入)0.87回
よって、正解は0.87(回)となります。
〔④について〕
インタレスト・カバレッジ・レシオは、借入金などの利息の支払い能力を評価するための指標で、事業利益が金融費用(支払利息・割引料)の何倍であるかを以下の算式で求めます。
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)=事業利益÷金融費用
事業利益を金融費用で除すという記述から、インタレスト・カバレッジ・レシオだとわかります。
よって、空欄にはインタレスト・カバレッジ・レシオが当てはまります。
〔⑤について〕
配当性向は、当期純利益のうちどれだけの金額を配当金の支払いに充てたかを示す指標で「配当金総額÷当期純利益×100」の算式で求めます。X社の配当金総額は77,000、当期純利益は180,000なので、配当性向は、
77,000÷180,000×100=42.777…%
(小数点以下第3位四捨五入)42.78%
よって、正解は42.78(%)となります。
〔⑥について〕
配当利回りは、購入したときの株価に対する年間配当金の割合で「1株あたりの年間配当金÷株価×100」の算式で求めます。
Y社の1株当たり年間配当金は「24,000百万円÷800百万株=30円」、株価は2,200円なので、配当利回りは、
30円÷2,200円×100=1.363…%
(小数点以下第3位四捨五入)1.36%
よって、正解は1.36(%)となります。
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