FP1級 2019年5月 応用編 問58

【この問題にはが用意されています。読んでから回答してください。】

問58

Aさんの2022年分の①事業所得の金額および②退職所得の金額をそれぞれ求めなさい(計算過程の記載は不要)。〈答〉は円単位とすること。なお、事業所得の金額の計算上、事業専従者控除額を控除することとし、事業専従者は妻Bさんのみであるものとする。

正解 

① 3,140,000(円)
② 3,850,000(円)

分野

科目:D.タックスプランニング
細目:3.各種所得の内容

解説

〔①について〕
事業所得の金額は、「総収入金額-必要経費(-青色申告特別控除額)」で計算します。
Ⅰ.の表中で注意すべき点は以下の通りです。
  • 売上値引と返品高は売上から控除できる
  • Aさんは棚卸資産の評価方法について届出をしていないので、原則的評価方法である最終仕入原価法で評価する
まず売上原価を求めなくてはなりません。売上原価は「年初棚卸高+年間仕入高-年末棚卸高」で求めるので、

 0円+2,300万円-600万円=1,700万円

生計を一にする15歳以上の白色専従者に支払った給与は、次の2つのうち少ない金額を限度として必要経費に算入できます(白色専従者給与)。
  1. 事業主の配偶者:86万円、左記以外:1人当たり50万円
  2. 専従者給与控除前の事業所得の金額を専従者の数+1で割った金額
    →事業所得等÷(事業専従者の数+1)
事業所得の金額は約400万円ですから、「400万円÷2=200万円」と86万円を比べて低い方の86万円が事業専従者控除額となります。

以上より、
総収入金額
3,000万円-100万円=2,900万円
必要経費
1,700万円+800万円+86万円=2,586万円
事業所得の金額
2,900万円-2,586万円=314万円
よって、正解は3,140,000(円)です。

〔②について〕
退職所得は「(退職収入ー退職所得控除額)×1/2」で求めます。
この式中の退職所得控除額は、勤続年数20年以下か20年超で計算式が変わります。
Aさんの勤続年数は28年2カ月ですので切り上げて29年で計算します。

 退職所得控除額:800万円+70万円×(29年-20年)=1,430万円
 退職所得の金額:(2,200万円-1,430万円)×1/2=385万円

よって、正解は3,850,000(円)です。