FP1級過去問題 2019年9月学科試験 問10

問10

保険法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 保険契約者の配偶者を被保険者とする終身保険について、その保険契約を締結する場合や契約締結後に保険金受取人を変更する場合、当該配偶者の同意がなければ、その効力は生じない。
  2. 損害保険の契約締結時において保険金額が保険価額を超過した部分についての保険契約は無効であるが、契約締結後に保険価額が減少して保険金額を下回った場合、保険契約者は、保険者に対し、保険金額および保険料の減額を請求することができる。
  3. 損害保険契約における保険者は、保険事故による損害が生じた場合、当該損害に係る保険の目的物が当該損害の発生後に保険事故によらずに滅失したときであっても、当該損害をてん補しなければならない。
  4. 保険契約者、被保険者または保険金受取人が有する保険給付請求権や保険料返還請求権は、生命保険、損害保険の別を問わず、3年間行わないときは、時効によって消滅する。

正解 2

問題難易度
肢19.5%
肢242.5%
肢327.5%
肢420.5%

解説

  1. 適切。死亡保険契約の保険金受取人の変更は、不正な受取りを防ぐ観点から、被保険者の同意がなければその効力は生じません(保険法45条)。
    保険契約者の配偶者を被保険者とする終身保険について、保険契約を締結する場合や契約締結後に保険金受取人を変更する場合、当該配偶者の同意がなければ、その効力は生じない。2023.1-9-1
  2. [不適切]。締結の時において保険金額が保険価額を超えていたことを保険契約者および被保険者が知らず、知らなかったことにつき重大な過失がなかったときでも保険契約は有効です。ただし、超過部分については後から取り消すことができます(保険法9条)。無効となるわけではありません
    また、損害保険契約の締結後に保険価額が著しく減少し超過保険の状態になった場合、保険契約者は、保険者に対し、将来に向かって保険金額と保険料の減額を請求することができます(保険法10条)。
    損害保険の契約締結後に保険価額が著しく減少して保険金額を下回った場合、保険契約者は、保険者に対して、契約締結時に遡って保険金額および保険料の減額を請求することができる。2023.1-9-2
  3. 適切。保険事故により保険の目的物の一部に損害が発生したときは、その後に保険対象外の事由で目的物全部が滅失した場合でも、当該損害をてん補しなければなりません(保険法15条)。
    損害保険契約における保険者は、保険事故による損害が生じた場合、当該損害に係る保険の目的物が当該損害の発生後に保険事故ではない理由により滅失したときであっても、当該損害をてん補しなければならない。2023.1-9-3
  4. 適切。保険金を請求する権利、保険料の返還を請求する権利、保険料積立金の払戻しを請求する権利は、権利を行使できるときから3年で時効消滅します(保険法95条)。
    保険金受取人が保険金を請求する権利および保険契約者が保険料の返還を請求する権利は、時効により5年で消滅するとされている。2018.1-10-c
    保険金受取人が保険金を請求する権利および保険契約者が保険料の返還を請求する権利は、時効により2年で消滅するとされている。2017.1-9-2
    保険法によれば、保険金受取人が保険金を請求する権利または保険契約者が保険料の返還を請求する権利は、時効により2年で消滅する。2015.10-9-4
したがって不適切な記述は[2]です。