FP1級過去問題 2019年9月学科試験 問16

問16

わが国の経済指標に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 景気動向指数のCI(コンポジット・インデックス)は、採用系列の前月と比べた変化の大きさを合成して作成された指数であり、CI一致指数の動きと景気の転換点はおおむね一致する。
  2. 消費者態度指数は、消費者マインドを示す指標であり、消費者の「暮らし向き」「収入の増え方」「雇用環境」「耐久消費財の買い時判断」に関する今後半年間の見通しに基づき作成され、毎月公表される。
  3. 貸出約定平均金利は、国内銀行(ゆうちょ銀行等を除く)および信用金庫における約定時の貸出金利を集計したものであり、「新規」「ストック」の2種類の計表がある。
  4. 完全失業率は、15歳以上の人口のうち、働く意思と能力がありながら就業の機会が得られない状態にある者の割合であり、景気動向指数において遅行系列に採用されている。

正解 4

問題難易度
肢111.0%
肢214.8%
肢312.5%
肢461.7%

解説

  1. 適切。景気動向指数には、コンポジット・インデックス(CI)とディフュージョン・インデックス(DI)があります。
    コンポジット・インデックス(CI)
    景気変動の大きさやテンポ(量感)を測定することを目的とする指数。一般的に、CI一致指数が上昇している時は景気の拡張局面、低下している時は後退局面となる。
    ディフュージョン・インデックス(DI)
    景気の各経済部門への波及の度合い(波及度)を測定することを主な目的とする指数。景気拡張局面では50%を上回り、後退局面では下回る傾向がある。
    一般的に、CI一致指数が上昇している時は景気の拡張局面、低下している時は後退局面であり、CI一致指数の動きと景気の転換点は概ね一致します。
    景気動向指数のCI(コンポジット・インデックス)は、採用系列の各月の値を3カ月前と比べた変化方向を合成して作成した指数であり、景気拡張の動きの各経済部門への波及度合いの測定を主な目的としている。2021.1-16-2
    景気動向指数において、CI(コンポジット・インデックス)は主として景気変動の大きさやテンポ(量感)の測定を目的とし、DI(ディフュージョン・インデックス)は景気拡張の動きの各経済部門への波及度合いの測定を主な目的としている。2016.9-16-3
    CI(コンポジット・インデックス)は、採用系列の各月の値を3カ月前と比べた変化方向を合成して作成した指数であり、景気拡張の動きの各経済部門への波及度合いの測定を主な目的としている。2016.1-16-3
  2. 適切。消費者態度指数とは、消費動向調査の結果を基に、暮らし向き、収入の増え方、雇用環境、耐久消費財の買い時判断の4項目の消費者意識を指数化したもので、内閣府が毎月公表しています。
    内閣府が公表する消費者態度指数は、消費者マインドを示す指標であり、暮らし向きに関する消費者の今後半年間の見通しなどを調査して作成される。2025.5-16-1
  3. 適切。貸出約定平均金利は、銀行や信用金庫が個人や企業に資金を貸し出す際の金利を平均したもので、日本銀行が毎月公表しています。
    貸出金利には、「新規」「ストック」の2種類の計表があり、「新規」とは、当該月末貸出残高のうち、当月中において実行した貸出を指し、「ストック」とは、当該月末時点において残高のあるすべての貸出を指します。
  4. [不適切]。「15歳以上の人口のうち」ではありません。完全失業率は、総務省が毎月発表している指標で、15歳以上の労働力人口(就業者+完全失業者)のうち、職がなく、求職活動をしている完全失業者が占める割合です。景気動向指数の遅行系列に採用されています。
    完全失業者とは、①仕事がなくて仕事をしていない、②仕事があれば直ぐに就職できる、③求職活動をしている、という3つの条件全てを満たす人で、働く意思と能力があったとしてもこれらを充足しない通学者、家事従事者、高齢者などの非労働力人口は母数から除かれています。
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    総務省が公表する完全失業率は、15歳以上の人口のうち、働く意思と能力がありながら就業の機会が得られない状態にある者の割合であり、景気動向指数の遅行系列に採用されている。2025.5-16-4
    厚生労働省が公表する有効求人倍率と総務省が公表する完全失業率は、いずれも景気動向指数の遅行系列に採用されている。2018.9-16-4
    総務省が公表する家計消費支出は、家計が1カ月間に行った消費の前年同月比割合を示す指標であり、景気動向指数の遅行系列に採用されている。2014.1-16-1
したがって不適切な記述は[4]です。