FP1級過去問題 2019年9月学科試験 問17

問17

ETF(上場投資信託)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. ETFの売買における受渡決済は、上場株式の普通取引とは異なり、原則として売買成立日から起算して2営業日目に行われる。
  2. ダブルインバース型ETFは、変動率が原指標の変動率の2倍となるように設定された指標に連動する運用成果を目指して運用され、その変動率は原指標の変動率よりも大きくなる。
  3. エンハンスト型ETFは、リスクコントロール指標やマーケットニュートラル指標など、一定の投資成果を実現するための投資戦略を表現した指標に連動する運用成果を目指して運用される。
  4. 東京証券取引所のETF市場では、ETFの流動性の向上を目的として、日本証券クリアリング機構が継続的に売買双方の気配提示を行うマーケットメイク制度が導入されている。

正解 3

問題難易度
肢16.4%
肢227.6%
肢346.6%
肢419.4%

解説

  1. 不適切。上場株式やEFT等の受渡日(決済日)は、2019年7月16日(火)約定分より取引日から起算して3営業日目に行われることになっています。
  2. 不適切。「インバース」とは、日本語では「逆」という意味です。原指標の変動とは逆の値動きをする指標に連動するように設定されるので、原指標が上昇すると価格が下がり、原指標が下落すると価格が上がります。
    ダブルインバース型は原指標の「-2倍」の値動きになるように設計された商品です。-2倍は前営業日と比較したときの値動きなので、レバレッジを効かせたETFでは、複利効果により2営業日以上離れた日を比較しても単純に一定倍率とはなりません。2営業日以上離れた日の比較では、原指標が下落局面にある場合は-2倍以上、上昇局面にある場合は-2倍未満の値動きとなります。
    ベア型ファンドは、原指標の変動率に一定の負の倍数を乗じて算出される指標に連動する運用成果を目指して運用される投資信託である。2022.5-18-4
    インバース型ETFは、原指標の変動率に一定の負の倍数を乗じて算出される指標に連動する運用成果を目指して運用される。2022.1-18-2
  3. [適切]。エンハンスト型ETFは、カバードコール指標、リスクコントロール指標やマーケットニュートラル指標など、一定の投資成果を実現するための投資戦略を表現した指標に連動するように運用されます。インデックスファンドのように原指標との完全連動を目指すのではなく、原指標を少しだけ上回ることを目的として設計・運用されます。
  4. 不適切。マーケットメイク制度は、取引所の指定を受けたマーケットメーカーが、常時「売り気配」と「買い気配」を提示することで金融商品の流動性を確保する仕組みです。東京証券取引所では、ETFの流動性の向上を目的として、2018年7月2日よりETF・J-REIT市場にマーケットメイク制度を導入しています。2021年現在、野村證券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、JPモルガン証券等の7社がマーケットメイカーとなっています。
    日本証券クリアリング機構は証券取引所の清算・決済を担当する機関であり、マーケットメイカーではありません。
したがって適切な記述は[3]です。