FP1級過去問題 2019年9月学科試験 問35
問35
不動産の鑑定評価に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。- 不動産の鑑定評価にあたっては、対象不動産の効用が最高度に発揮される可能性に最も富む使用を前提とした不動産の価格を把握することとされている。
- 原価法は、価格時点において対象不動産の再調達を想定した場合において必要とされる適正な原価の総額について減価修正を行って対象不動産の積算価格を求める手法である。
- 取引事例比較法の適用にあたっては、多数の取引事例を収集する必要があるが、取引事例は、原則として近隣地域または同一需給圏内の類似地域に存する不動産に係るもののうちから選択するものとされている。
- 建物の収益価格を直接還元法で求める場合、原則として、還元対象となる一期間における減価償却費を控除しない償却前の純収益を、償却後の純収益に対応する還元利回りで除して算出する。
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正解 4
問題難易度
肢111.5%
肢212.9%
肢311.3%
肢464.3%
肢212.9%
肢311.3%
肢464.3%
分野
科目:E.不動産細目:1.不動産の見方
解説
- 適切。不動産の価格は、その不動産の効用が最高度に発揮される可能性に最も富む使用を前提として把握される価格を標準として形成されます(最有効使用の原則)。この場合の最有効使用は、現実の社会経済情勢の下で客観的にみて、良識と通常の使用能力を持つ人による合理的かつ合法的な最高最善の使用方法に基づくものです。
- 適切。原価法は、価格時点における対象不動産の再調達原価を求め、この再調達原価について減価修正を行って対象不動産の試算価格を求める手法です。再調達原価とは、対象不動産を価格時点において再調達することを想定した場合において必要とされる適正な原価の総額です。
- 適切。取引事例比較法は、まず多数の取引事例を収集して適切な事例の選択を行い、これらに係る取引価格に必要に応じて事情補正及び時点修正を行い、かつ、地域要因の比較及び個別的要因の比較を行って求められた価格を比較考量し、これによって対象不動産の試算価格を求める手法です。
不動産鑑定評価基準において、取引事例は、原則として近隣地域または同一需給圏内の類似地域に存する不動産に係るもののうちから選択するものとされています。 - [不適切]。直接還元法は、家賃収入から総費用を差し引いた1年間の純収益を、還元利回り(期待収益率)で除して算出します。将来の純収益を現在価値に割り戻すことによって、対象不動産の収益価格を求める方法です。
求める不動産の収益価格=一期間の純収益還元利回り
直接還元法の適用において還元対象となる一期間の純収益と、それに対応して採用される還元利回りの間には、整合性がなければならないので、償却前の純収益を割り戻す場合には、償却前の純収益に対応する還元利回りを使用しなければなりません。本肢は、償却前純収益を償却後純収益の還元利回りで除すとしているので誤りです。
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