FP1級過去問題 2019年9月学科試験 問41

問41

Aさん夫妻は、妻Bさん名義の土地の上に2022年4月に新築したAさん名義の自宅で暮らしていたが、2023年8月にその家屋およびその敷地を売却した。この場合、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」(以下、「本特例」という)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
なお、Aさんと妻Bさんは、いずれも収入金額が取得費および譲渡費用の合計額を上回って譲渡所得の金額が算出されるものとし、各選択肢において、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。
  1. Aさんと妻Bさんは、いずれも本特例の適用を受けることができない。
  2. Aさんは本特例の適用を受けることができるが、Aさんの譲渡所得の金額が3,000万円に満たない場合であっても、妻Bさんは本特例の適用を受けることができない。
  3. Aさんは本特例の適用を受けることができ、Aさんの譲渡所得の金額が3,000万円に満たない場合、妻Bさんも本特例の適用を受け、妻Bさんの課税長期譲渡所得金額の計算上、その満たない金額を譲渡所得の金額を限度として控除することができる。
  4. Aさんと妻Bさんは、いずれも本特例の適用を受けることができ、Aさんと妻Bさんの課税長期譲渡所得金額の計算上、それぞれ最大3,000万円を控除することができる。

正解 3

問題難易度
肢14.4%
肢27.5%
肢362.7%
肢425.4%

解説

3,000万円の特別控除は、原則として家屋の所有者が家屋とその敷地を譲り渡した場合に受けられるものです。しかし、家屋の所有者と敷地の所有者が異なるときでも、次の要件のすべてに当てはまるときは、敷地の所有者もこの特例を受けることができます。
  1. 敷地を家屋と同時に売ること
  2. 家屋の所有者と敷地の所有者とが親族関係にあり、生計を一にしていること
  3. その敷地の所有者は、その家屋の所有者と一緒にその家屋に住んでいること
この場合の特別控除額は、家屋の所有者と敷地の所有者と合わせて3,000万円までです。まず、家屋の所有者から控除され、特別控除額の残額がある場合は土地の所有者から控除するという手順になっています。
  1. 不適切。①同時売却、②親族関係、③同居の3条件を満たしているので、Aさんは適用を受けられます。Bさんが適用を受けられるかどうかはAさんの譲渡所得の金額によります。
  2. 不適切。Aさん(自宅所有者)の譲渡所得の金額が3,000万円に満たない場合は、控除しきれなかった残額をBさん(土地所有者)の譲渡所得の金額から控除できます。
  3. [適切]。Aさん(自宅所有者)の譲渡所得の金額が3,000万円に満たない場合は、控除しきれなかった残額をBさん(土地所有者)の譲渡所得の金額から控除できます。
  4. 不適切。特別控除額は自宅・土地合わせて3,000万円ですので、それぞれ最大3,000万円を控除することはできません。
    特別控除の特例の適用を受けた場合、譲渡所得の金額の計算上、譲渡益から特別控除として最大3,000万円を控除することができる。2021.5-41-3
    本特例の適用を受けた場合、低未利用土地等の譲渡に係る長期譲渡所得の金額から最大500万円の特別控除額を控除することができる。2021.1-41-4
したがって適切な記述は[3]です。