FP1級過去問題 2019年9月学科試験 問42
問42
贈与契約に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。- 負担付贈与契約とは、受贈者に一定の負担を課す贈与であり、その受贈者の負担から利益を受ける者は贈与者に限られる。
- 負担付贈与契約により土地の贈与を受けた者は、贈与税額の計算上、原則として、当該土地の通常の取引価額に相当する金額から負担額を控除した金額を贈与により取得したものとされる。
- 死因贈与契約は、民法における遺贈に関する規定が準用され、贈与者の一方的な意思表示により成立し、贈与者の死亡によってその効力を生じる。
- 死因贈与契約は、当該契約が書面によってなされた場合、原則として、当事者が撤回することはできない。
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正解 2
問題難易度
肢18.1%
肢265.1%
肢315.2%
肢411.6%
肢265.1%
肢315.2%
肢411.6%
分野
科目:F.相続・事業承継細目:1.贈与と法律
解説
- 不適切。負担付贈与契約とは、受贈者に一定の債務を負担させることを条件にした財産の贈与をいいます。
第三者などに対する債務の履行や、第三者に対する労務の提供などを条件にして財産を贈与する例のように、第三者がその負担からの利益を受ける負担付贈与契約も可能です。このとき、その負担が第三者の利益に帰すときは、第三者は負担額に相当する金額を贈与により取得したことになります。負担付贈与とは、受贈者に一定の給付をなすべき義務を負わせる贈与であり、受贈者の負担によって利益を受ける者は、贈与者以外の第三者とすることができる。(2024.9-42-2)負担付贈与とは、受贈者に一定の給付をなすべき義務を負わせる贈与であり、その受贈者の負担から利益を受ける者は贈与者に限られる。(2024.1-42-3)負担付贈与とは、受贈者に一定の給付をなすべき義務を負わせる贈与であり、その受贈者の負担から利益を受ける者は贈与者に限られる。(2022.9-42-2)負担付贈与契約とは、受贈者に一定の負担を課す贈与であり、その受贈者の負担から利益を受ける者は贈与者に限られる。(2015.10-42-3) - [適切]。負担付贈与による取得額は、受贈した財産の時価(不動産以外は相続税評価額)から負担額を差し引いた金額となります。例えば、500万円の負担で3,000万円の土地を受贈した場合には、贈与税の課税価格は「3,000万円-500万円=2,500万円」です。負担付贈与契約により土地の贈与を受けた者は、贈与税額の計算上、原則として、当該土地の通常の取引価額に相当する金額から負担額を控除した金額を贈与により取得したものとされる。(2021.9-42-2)
- 不適切。遺贈の法的な性質は贈与者の一方的な意思表示により成立する単独行為ですが、死因贈与契約は受贈者の合意を必要とする契約行為です。死因贈与にはその性質に反しない限り、遺贈の規定が準用されますが、準用される範囲は効力に関するものであって、遺書能力・方式・承認・放棄に関する規定は準用されません。死因贈与は、民法における遺贈に関する規定が準用され、贈与者の一方的な意思表示により成立し、贈与者の死亡によってその効力を生じる。(2024.9-42-3)死因贈与契約は、民法における遺贈に関する規定が準用され、贈与者の一方的な意思表示により成立し、贈与者の死亡によってその効力を生じる。(2021.9-42-4)死因贈与契約は、遺贈に関する規定が準用され、贈与者の一方的な意思表示により成立する。(2015.10-42-2)
- 不適切。民法では、書面による贈与は撤回できないとしている一方、死因贈与に準用される遺贈では遺言の方式に従って撤回できるとしています。では、書面でなされた死因贈与についてはどちらの規定が適用されるのかということになりますが、判例では、死因贈与の取消しについては、その方式による部分を除いて遺贈の規定が準用されるとしています。よって、死因贈与契約が書面でなされた場合でも当事者は自由に撤回することができます。
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