FP1級過去問題 2019年9月学科試験 問45(改題)
問45
相続税の税額控除等に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。- 相続開始前7年以内に被相続人から暦年課税による贈与により取得し、相続税の課税価格の計算の基礎となった財産がある場合、相続税額の計算上、当該財産について課された贈与税額を控除することができ、相続税額から控除しきれない場合は税額の還付を受けることができる。
- 被相続人の子が相続の放棄をして相続人が配偶者と直系尊属となった場合、配偶者は、相続または遺贈により取得した財産の額が1億6,000万円または相続税の課税価格の合計額の3分の2相当額のいずれか多い金額までであれば、「配偶者に対する相続税額の軽減」の適用を受けることにより、納付すべき相続税額は算出されない。
- 未成年者控除額が未成年者である相続人の相続税額から控除しきれない場合、その控除しきれない部分の金額は、その者の扶養義務者で、同一の被相続人から相続または遺贈により財産を取得した者の相続税額から控除することができる。
- 被相続人がその相続開始前20年以内に相続税を納付していた場合、当該被相続人から相続または遺贈により財産を取得した相続人の相続税額から当該被相続人が納付した相続税額の一定割合を控除することができる。
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正解 3
問題難易度
肢117.7%
肢213.4%
肢364.1%
肢44.8%
肢213.4%
肢364.1%
肢44.8%
分野
科目:F.相続・事業承継細目:4.相続と税金
解説
- 不適切。相続財産を取得した人が、相続開始前7年以内に被相続人から贈与を受けていたときは、その贈与財産の贈与時の価額を相続税の課税価格に加算します。当該贈与財産について贈与税を納付していた場合、その贈与税額はその人の納付相続税額から控除することができます(贈与税額控除)。この暦年課税による贈与税額控除の上限は納付相続税額なので、贈与税額>相続税額となる場合でも税額還付を受けることはできません(相続税法19条)。
これに対して、相続時精算課税を選択した場合は、贈与時の贈与税額が相続税額よりも上回っていたときは差額の還付を受けることができるという違いがあります。 - 不適切。配偶者に対する相続税額の軽減の適用を受けた場合、配偶者は法定相続分または1億6,000万円のいずれか多い金額までであれば相続税はかかりません。
相続税では相続の放棄があったとしても、放棄されなかったものとして計算します。本来の法定相続人は「配偶者と子」の組合せだったので、相続税計算上の配偶者の法定相続分は2分の1となり、1億6,000万円または相続税課税価格の2分の1が上限となります(相続税法19条の2)。 - [適切]。未成年者が民法上の相続人であるときは、未成年者控除として、その未成年者が納付すべき相続税額から「(18-年齢)※×10万円」を控除することができます(※1年未満は1年に切上げ)。控除額の全額が引き切れない場合は、その引き切れない部分の金額を、その未成年者の扶養義務者の相続税額から差し引くことができます(相続税法19条の3)。
- 不適切。20年以内ではありません。被相続人が、相続開始前10年以内に相続により財産を取得し、相続税の納付をしていた場合には、先の相続で支払った相続税額のうち一定額が、今回の相続人が支払う相続税額から控除されます。これを「相次相続控除」といい、時期が近い相続において、同一の財産に相続税が複数回課されることを避ける目的があります(相続税法20条)。
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