FP1級 2019年9月 応用編 問61

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問61

交換後の乙土地に耐火建築物を建築する場合、次の①および②に答えなさい(計算過程の記載は不要)。〈答〉は㎡表示とすること。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
  1. 建蔽率の上限となる建築面積はいくらか。
  2. 容積率の上限となる延べ面積はいくらか。なお、特定道路までの距離による容積率制限の緩和を考慮すること。
〈特定道路までの距離による容積率制限の緩和に関する計算式〉
W1(a-W2)×(b-L)b
W1:前面道路幅員に加算される数値
W2:前面道路の幅員(m)
L :特定道路までの距離(m)

正解 

① 200(㎡)
② 792(㎡)

分野

科目:E.不動産
細目:3.不動産に関する法令上の規制

解説

まず、乙土地は2項道路(左の3m道路)に接しているためセットバックについて考慮する必要があります。
道路の反対側はがけ地や川等ではないことから、道路の中心線から2mの線まで後退することとなり、乙土地の左側0.5mがセットバック部分になります。このため、建蔽率・容積率の算定上に用いる敷地面積の計算に当たっては横幅を「10.5m-0.5m=10m」とみなします。したがって、乙土地の敷地面積は左側が0.5mだけ狭い「20m×10m=200㎡」となります。

〔①について〕
「敷地面積×建蔽率」で計算します。建築面積の計算では建蔽率の緩和を考慮する必要があります。
本問の建物は耐火建築物であり、建蔽率80%の防火地域内に建築されるため、建蔽率の制限はなくなります。つまり、敷地面積の100%まで建築することができます。乙土地は200㎡なので建築面積の限度は、

 200㎡×100%=200㎡

よって、正解は200(㎡)になります。

〔②について〕
前面道路の幅員が6m以上12m未満である建築物の敷地が、70m以内の距離で幅員15m以上の道路(特定道路)に接続されている場合、その敷地の容積率の計算に当たり、以下の式で計算される値を前面道路幅に加算することができます。
設問の式にW2=6、L=63を代入すると、前面道路幅員に加算される数値W1は、

 W1(12-6)×(70-63)706×7704270=0.6m

得られた0.6mを、乙土地が接している道路のうち幅員が最大の6m道路に加算した「6m+0.6m=6.6m」が前面道路の幅員となり、これを使って延べ面積の限度を算定することになります。指定容積率が400%、前面道路の幅員×法定乗数が「6.6m×0.6=3.96」なので、適用される容積率は2つを比べて小さい396%となります。乙土地は200㎡なので延べ面積の限度は、

 200㎡×396%=792㎡

よって、正解は792(㎡)になります。