FP1級 2019年9月 応用編 問62
問62
Aさんが、下記の〈条件〉で借地権と所有権(底地)を交換し、「固定資産の交換の場合の譲渡所得の特例」(所得税法第58条)の適用を受けた場合、次の①~③に答えなさい。〔計算過程〕を示し、〈答〉は100円未満を切り捨てて円単位とすること。なお、本問の譲渡所得以外の所得や所得控除等は考慮しないものとする。- 課税長期譲渡所得金額はいくらか。
- 課税長期譲渡所得金額に係る所得税および復興特別所得税の合計額はいくらか。
- 課税長期譲渡所得金額に係る住民税額はいくらか。
〈交換譲渡資産〉
- 交換譲渡資産:借地権(旧借地法による借地権)
- 借地権の取得時期:2003年10月に相続(単純承認)により取得
- 交換譲渡資産の取得費:不明
- 交換譲渡資産の時価:4,000万円(交換時)
- 交換費用(仲介手数料等):100万円(譲渡と取得の費用区分は不明)
- 交換取得資産:所有権(底地)
- 交換取得資産の時価:3,600万円(交換時)
- AさんがBさんから受領した交換差金:400万円
①円 |
②円 |
③円 |
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正解
① 3,750,000(円)
4,000,000円-(2,000,000円+1,000,000円×50%)×4,000,000円36,000,000円+4,000,000円=3,750,000円
② 574,300(円)3,750,000円×15%=562,500円
562,500円×2.1%=11,812.5円
562,500円+11,812.5円=574,300円(100円未満切り捨て)
③ 187,500(円)562,500円×2.1%=11,812.5円
562,500円+11,812.5円=574,300円(100円未満切り捨て)
3,750,000円×5%=187,500円
分野
科目:E.不動産細目:5.不動産の譲渡の係る税金
解説
〔①について〕「固定資産の交換の場合の譲渡所得の特例」の適用を受けた場合、譲渡資産の時価が取得資産の時価以下であれば譲渡所得は算出されませんが、本問のように、譲渡資産の時価>取得資産の時価で交換差金等の授受がある場合には、受け取った交換差金等が譲渡所得として課税対象となります。
譲渡所得金額の算出式は次のとおりです。
交換差金等-(取得費+譲渡費用)×交換差金等交換差金等+取得資産の時価
ポイントは取得費と譲渡費用のうち交換差金等に相当する部分だけを控除する点、交換費用について譲渡と取得の費用区分が不明なときは、譲渡資産の譲渡費用と取得資産の取得費に半分ずつ配分するという点です。
- 取得費 … 4,000万円×5%=200万円(概算取得費)
- 譲渡費用 … 100万円×50%=50万円(費用区分が不明なので交換費用の半分)
=400万円-250万円×1/10
=400万円-25万円=375万円
よって、正解は3,750,000(円)です。
〔②について〕
課税長期譲渡所得金額の所得税率は15%、復興特別所得税率は0.315%です。
3,750,000円×15.315%=574,312.5円
(100円未満切捨て)574,300円
よって、正解は574,300(円)です。
模範解答と異なりまとめて計算していますが、譲渡所得の金額が万円単位である限り計算誤差は生じないので問題ありません。
〔③について〕
住民税の税率は5%なので、
3,750,000円×5%=187,500円
よって、正解は187,500(円)です。
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