FP1級 2019年9月 応用編 問63

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問63

Aさんの相続に関する以下の文章の空欄①~⑦に入る最も適切な語句または数値を、解答用紙に記入しなさい。

 Aさんがいわゆる青空駐車場として使用している丙土地は、相続税の課税価格の計算上、自用地として評価するが、丙土地上に賃貸物件を建築し、貸付事業を始めた場合には、()として評価することになる。仮に借地権割合が60%、借家権割合が30%、賃貸割合が100%であるとすると、()として評価した丙土地の相続税評価額は、自用地評価額の()%相当額となる。また、丙土地上に建築した賃貸物件については、貸家として評価することになり、仮に借地権割合が60%、借家権割合が30%、賃貸割合が100%であるとすると、その相続税評価額は、固定資産税評価額の()%相当額となる。
 さらに、貸付事業の用に供することになる丙土地は、所定の要件を満たせば、貸付事業用宅地等として「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」(以下、「本特例」という)の適用を受けることができ、相続税の課税価格の計算上、()㎡を限度面積として評価額の()%を減額することができる。ただし、Aさんが所有する甲土地の全部について、特定居住用宅地等として本特例の適用を受ける場合、丙土地に対する本特例の適用面積は最大()㎡となる。
 なお、相続の開始前()年以内に新たに貸付事業の用に供された宅地等については、被相続人が相続開始前()年を超えて事業的規模で貸付事業を行っていた場合等を除き、本特例の適用対象とならない。
 

正解 

① 貸家建付地
② 82(%)
③ 70(%)
④ 200(㎡)
⑤ 50(%)
⑥ 80(㎡)
⑦ 3(年)

分野

科目:F.相続・事業承継
細目:6.相続財産の評価(不動産)

解説

〔①について〕
土地所有者が建物を建築し、その建物を賃貸の用に供している敷地については、貸家建付地として評価します。
よって、正解は貸家建付地となります。

〔②について〕
貸家建付地の評価額は以下の算式で求めます。
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借地権割合が60%、借家権割合が30%、賃貸割合が100%であるとすると、

 自用地評価額×(1-60%×30%×100%)
=自用地評価額×(1-18%)
=自用地評価額×82%

よって、正解は82(%)となります。

〔③について〕
貸家の評価額は以下の算式で求めます。
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借家権割合が30%、賃貸割合が100%であるとすると、

 自用地評価額×(1-30%×100%)
=自用地評価額×(1-30%)
=自用地評価額×70%

よって、正解は70(%)となります。

〔④、⑤について〕
貸付事業用宅地について本特例の適用を受けた場合、敷地面積200㎡を限度に50%の減額を受けることができます。
よって、④は200(㎡)、50(%)が正解となります。
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〔⑥について〕
小規模宅等の評価減の特例において、貸付事業用宅地とそれ以外の区分の宅地についてともに適用を受ける場合には、適用限度面積が以下の式に従って算出される面積までに制限されます。
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甲土地(198㎡)の全部について特定居住用宅地等として適用を受ける場合、

 198㎡×200㎡330㎡+丙土地の適用可能面積≦200㎡
 120㎡+丙土地の適用可能面積≦200㎡
 丙土地の適用可能面積=80㎡

したがって、丙土地(250㎡)のうち80㎡の部分について貸付事業用宅地等の適用を受けることができます。
よって、正解は80(㎡)となります。

〔⑦について〕
その相続の開始前3年以内に新たに貸付事業の用に供された宅地等は「3年以内貸付宅地等」といわれ、本特例の適用対象とはなりません。ただし、相続の開始前3年以内に新たに貸付事業の用に供された宅地等であっても、被相続人が相続開始前3年を超えて事業的規模で貸付事業の用に供された宅地等については除きます。
よって、正解は3(年)となります。
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