FP1級過去問題 2020年1月学科試験 問35

問35

借地借家法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、本問においては、借地借家法における定期建物賃貸借契約を定期借家契約といい、それ以外の建物賃貸借契約を普通借家契約という。
  1. 期間の定めのない普通借家契約において、正当な事由に基づき、建物の賃貸人による賃貸借の解約の申入れが認められた場合、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から6カ月を経過することによって終了する。
  2. 2000年3月1日より前に締結された居住用建物の賃貸借契約について、当事者が、その賃貸借を合意により終了させ、引き続き新たに同一の建物を目的とする定期借家契約を締結することは認められない。
  3. 定期借家契約を締結する場合、建物の賃貸人は、あらかじめ、建物の賃借人に対し、建物の賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借は終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しなければならない。
  4. 自己の事業の用に供するために賃借している建物の定期借家契約において、当該建物の床面積が200㎡未満であり、かつ、廃業等のやむを得ない事情により事業を継続することが困難となったときは、賃借人は、特約がなくても当該建物の定期借家契約を中途解約することができるとされている。

正解 4

問題難易度
肢110.8%
肢224.8%
肢38.9%
肢455.5%

解説

  1. 適切。期間の定めのない普通借家契約の場合は、貸主・借主がいつでも解約の申入れをすることができます。賃貸人が解約の申入れには正当事由が必要で、正当事由が認められれば建物の賃貸借は、解約の申入れの日から6カ月を経過することによって終了します。一方、借主側からの解約の場合は民法の規定が適用され、解約の申入れの日から3カ月を経過することによって終了します(借地借家法27条、民法617条1項2号)。
  2. 適切。2000年(平成12年)3月1日より前に契約した居住用建物の賃貸借契約は、たとえ当事者同士の合意があっても定期借家契約に切り替えることができません(事業用建物はOKです)。2000年3月1日は、旧借地借家法の期限付建物賃貸借が定期建物賃貸借等に変更された日です(借地借家法H11改正法附則)。
  3. 適切。定期借家契約をしようとするときは、貸主は、あらかじめ借主に対し、契約の更新がなく期間満了により終了する旨を記載した書面を交付して、説明しなければなりません(借地借家法38条3項)。
  4. [不適切]。定期借家契約で中途解約が認められるのは、床面積200㎡未満かつ「転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情」の場合に限られています。廃業による使用継続困難は中途解約の事由になりません(借地借家法38条7項)。
したがって不適切な記述は[4]です。