FP1級過去問題 2020年1月学科試験 問38

問38

生産緑地法に規定する生産緑地に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 生産緑地地区として指定される場所は、都市計画区域における市街化区域内に限られ、当該区域内における一定規模以上の農地等が対象となる。
  2. 生産緑地地区内において、市町村長の許可を受けて設置することができる施設は、農業を営むために必要となる施設に限られ、農産物を販売する施設や料理を提供する施設を設置することはできない。
  3. 生産緑地の所有者は、当該生産緑地に係る生産緑地地区に関する都市計画の告示の日から20年を経過した場合、市町村長に対して当該生産緑地を時価で買い取るべき旨を申し出ることができる。
  4. 生産緑地の所有者による買取りの申出により生産緑地の指定が解除された場合、所有者は、生産緑地として減免されていた固定資産税額を遡って納付しなければならない。

正解 1

問題難易度
肢161.8%
肢29.3%
肢322.5%
肢46.4%

解説

  1. [適切]。生産緑地地区として指定できるのは、市街化区域内にある一団の農地等で、
    1. 公害または災害の防止、農林漁業と調和した都市環境の保全等良好な生活環境の確保に相当の効用があり、公共施設等の敷地の用に供する土地として適している
    2. 500㎡以上の規模の区域である(条例で規模の引き下げが可能)
    3. 用排水その他の状況を勘案して農林漁業の継続が可能な条件を備えていると認められる
    という条件を備えた区域となります(生産緑地法3条1項)。生産緑地地区の指定には原則500㎡以上の規模であることが必要です。
  2. 不適切。生産緑地地区内では、原則として、建築物や工作物の建築等、宅地造成、水面の埋立て・干拓をするには市町村長の許可が必要です。市町村長の許可を受けることができるのは、当該生産緑地内で農林漁業を営むために必要な一定の施設と、当該生産緑地の農林漁業従事者が生産した農作物等を製造・加工・販売・料理提供するための施設に限られています(生産緑地法8条2項2号)。
    農作物の販売施設や農家レストランも、一定の要件を満たすことにより、市町村長の許可を受けて生産緑地地区内に設置することができます。
  3. 不適切。生産緑地地区の指定から30年が経過したとき、生産緑地の所有者は、市町村長にその生産緑地を時価で買い取るよう申し出ることができます(生産緑地法10条1項)。
    特定生産緑地に指定された場合、買取りの申出をすることができる時期が、生産緑地地区に関する都市計画決定の告示の日から30年を経過する日から10年延長される。2022.9-37-3
    市町村長は、生産緑地の所有者等の同意を得て、当該生産緑地に係る生産緑地地区に関する都市計画についての都市計画法の規定による告示の日から起算して30年を経過する日までに、当該生産緑地を特定生産緑地として指定することができる。2021.9-37-4
    生産緑地の所有者は、当該生産緑地に係る生産緑地地区に関する都市計画の告示の日から20年を経過した場合、市町村長に対して当該生産緑地を時価で買い取るべき旨を申し出ることができる。2019.1-37-4
    生産緑地の所有者は、当該生産緑地に係る生産緑地地区に関する都市計画の告示の日から30年を経過した場合、市町村長に対して当該生産緑地を時価で買い取るべき旨を申し出ることができる。2017.1-37-2
    生産緑地の所有者は、当該生産緑地に係る生産緑地地区に関する都市計画の告示の日から起算して20年を経過した場合、市町村長に対して当該生産緑地を時価で買い取るべき旨を申し出ることができる。2015.9-38-4
  4. 不適切。生産緑地地区に指定されると、指定から30年間は農地としての適正な管理、保全が義務付けられ、建築物の建築や宅地の造成等の行為が制限されますが、固定資産税・都市計画税が農地評価及び農地課税となり、相続税の納税猶予を受けることができます。
    買取りの申出により生産緑地の指定が解除された場合でも、減免されていた過去の固定資産税額を納付する必要はありません。
    生産緑地の買取りの申出により生産緑地の指定が解除された場合に、当該生産緑地について「農地等についての相続税の納税猶予の特例」の適用を受けていたときは、その農地等納税猶予税額および利子税を納付しなければならない。2022.9-37-2
    生産緑地の所有者の申出により生産緑地の指定が解除された場合、所有者は、生産緑地として減免されていた固定資産税額を遡って納付しなければならない。2017.1-37-3
したがって適切な記述は[1]です。