FP1級過去問題 2020年9月学科試験 問5(改題)

問5

年金生活者支援給付金に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 年金生活者支援給付金には、老齢年金生活者支援給付金、障害年金生活者支援給付金および遺族年金生活者支援給付金があり、その支払は、いずれも毎年1月、4月、7月および10月の4回、それぞれの前月までの分が支払われる。
  2. 老齢年金生活者支援給付金は、老齢基礎年金の受給権者で所定の所得要件を満たす者が支給対象となり、その額は、受給資格者の保険料納付済期間の長短にかかわらず、月額5,140円(2023年度価額)である。
  3. 障害年金生活者支援給付金は、障害基礎年金の受給権者で所定の所得要件を満たす者が支給対象となり、その額は、受給資格者の障害の程度にかかわらず、月額5,140円(2023年度価額)である。
  4. 遺族年金生活者支援給付金は、遺族基礎年金の受給権者で所定の所得要件を満たす者が支給対象となり、その額は、受給資格者が1人である場合、遺族基礎年金の額の多寡にかかわらず、月額5,140円(2023年度価額)である。

正解 4

問題難易度
肢113.0%
肢220.4%
肢314.3%
肢452.3%

解説

年金生活者支援給付金は、消費税率引上げ分を活用し、公的年金等の収入金額やその他の所得が一定基準額以下の方に、生活の支援を図ることを目的として、年金に上乗せして支給するものです。消費税率の引き上げを活用するという名目で2019年10月に創設されました。支援給付金を受け取るには受給権者が年金事務所に請求する必要があります。

年金生活者支援給付金は受け取っている年金の区分に応じて以下の3種類があります。
老齢年金生活者支援給付金
[支給要件]
①65歳以上の老齢基礎年金の受給者、②世帯全員が市町村民税非課税、③前年の公的年金の収入額とその他の所得の合計額が881,200円以下の全てに該当する人
[支給額]
原則として、月額5,140円に被保険者期間480月に対する保険料納付済期間の割合を乗じた額
5,140円×保険料納付済月数480月+11,041円×保険料免除月数480月
障害年金生活者支援給付金
[支給要件]
前年の所得が4,721,000円以下(扶養親族等の数に応じて増額)である障害基礎年金の受給者
[支給額]
障害等級2級:月額5,140円、障害等級1級:月額6,425円
遺族年金生活者支援給付金
[支給要件]
前年の所得が4,721,000円以下(扶養親族等の数に応じて増額)である遺族基礎年金の受給者
[支給額]
月額5,140円
  1. 不適切。年金生活者支援給付金の支給は公的年金と同じく2カ月に1度(年6回)で、偶数月の中旬に前々月・前月の2か月分が支払われます。
  2. 不適切。老齢年金生活者支援給付金は、老齢基礎年金の受給権者で所得要件を満たす者が対象となります。その給付額は、月額5,140円を基準にした受給資格者の保険料納付済期間に基づく金額と月額11,041円を基準にした保険料免除期間に基づく金額の合計額になります。一律で月額5,140円ではありません。
  3. 不適切。障害年金生活者支援給付金は、障害基礎年金の受給権者で所得要件を満たす者が対象となります。その給付額は、受給資格者の障害の程度によって異なり、障害等級2級の者で月額5,140円、障害等級1級の者で月額6,425円が支給になります。
  4. [適切]。遺族年金生活者支援給付金は、遺族基礎年金の受給権者で所定の所得要件を満たす者が対象となります。その給付額は一律で月額5,140円です。本肢では受給資格者が1人ですが、仮に2人以上の子が遺族基礎年金を受給している場合、5,140円を子の人数で割った金額がそれぞれ支給されます。
したがって適切な記述は[4]です。