FP1級過去問題 2020年9月学科試験 問8

問8

キャッシュ・フロー計算書(間接法)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. キャッシュ・フロー計算書における「現金及び現金同等物の増減額」は、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計額である。
  2. 「売上高の減少」「販売費及び一般管理費の増加」「売上債権の増加」は、いずれも営業活動によるキャッシュ・フローが減少する要因となる。
  3. 「固定資産の増加」「短期借入金の減少」「配当金の支払」は、いずれも投資活動によるキャッシュ・フローが減少する要因となる。
  4. 損益計算書の経常利益に減価償却費を加算した金額は、営業活動によるキャッシュ・フローの金額と一致する。

正解 2

問題難易度
肢19.9%
肢266.1%
肢314.4%
肢49.6%

解説

  1. 不適切。キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フロー、投資活動によるキャッシュ・フローおよび財務活動によるキャッシュ・フローの3つに区分され、キャッシュ・フロー計算書における「現金及び現金同等物の増減額」は、上記3つの区分の現金の出入り額を合算したものとなっています。
  2. [適切]。「売上高の減少」は現金の流入が減ったため、「販売費及び一般管理費の増加」は現金の流出が増えたため、「売上債権の増加」は本来現金として流入するはずの売上が回収できていないためキャッシュ・フローの減少要因となります。
    「売上高の減少」「販売費及び一般管理費の増加」は、営業活動によるキャッシュ・フローが減少する要因となる。2022.5-8-1
  3. 不適切。「固定資産の増加」は投資活動によるキャッシュ・フローが減少する要因となりますが、「短期借入金の減少」「配当金の支払」は資金の調達や返済による活動ですので、財務活動によるキャッシュ・フローが減少する要因となります。
    「有形固定資産の取得」「投資有価証券の取得」は、投資活動によるキャッシュ・フローが減少する要因となる。2022.5-8-2
  4. 不適切。営業活動によるキャッシュ・フローの金額は、税引前当期純利益をベースにして現金支出のない費用である減価償却費を加算し、売上債権増減額、仕入債権増減額、棚卸資産増減額その他増減額を加減して算出します。通常、営業活動によるキャッシュ・フローの金額は税引前当期純利益に近い金額となり、減価償却費と一致することはありません。
したがって適切な記述は[2]です。