FP1級過去問題 2021年1月学科試験 問2

問2

雇用保険の就職促進給付に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 就業手当の支給を受けるためには、職業に就いた日の前日における基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上または45日以上であることが要件の1つとされ、その額は、現に職業に就いている日について、基本手当日額の30%相当額となる。
  2. 再就職手当の支給を受けるためには、受給資格者が1年を超えて引き続き雇用されることが確実であると認められる職業に就くことや一定の事業を開始することが要件の1つとされるが、離職前の事業主に再び雇用された場合は支給されない。
  3. 就業促進定着手当は、再就職手当の支給に係る同一の事業主の適用事業にその職業に就いた日から引き続いて6カ月以上雇用される者であって、そのみなし賃金日額が算定基礎賃金日額を下回った者が支給対象となる。
  4. 再就職手当および常用就職支度手当は、受給資格者が安定した職業に就いた日前3年以内の就職について再就職手当または常用就職支度手当の支給を受けたことがあるときは、支給されない。

正解 1

問題難易度
肢152.3%
肢216.3%
肢314.7%
肢416.7%

解説

  1. [不適切]。就業手当は、再就職手当の対象とならない職業に就き(または事業を開始し)、就職日の前日における基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上【かつ】45日以上ある者に対して支給されます。支給額は現に職業に付いている日ごとに、基本手当日額の30%相当額となります。本肢は条件部を【または】としているので誤りです(雇用保険法56条の3第1項1号・3項1号)。
    基本手当の受給者が再就職し、再就職手当の支給を受ける場合、再就職した日の前日における基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の2以上であるときの再就職手当の額は、「基本手当日額(上限あり)×所定給付日数の支給残日数×70%」の算式により算出される。2017.9-3-1
  2. 適切。再就職手当は、1年を超えて引き続き雇用されることが確実である安定した職業に就き(または自立できると認められた事業を開始し)、就職日の前日における基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上ある者に対して支給されます(雇用保険法56条の3第1項1号)。4つの就業促進手当すべてに共通する要件ですが、離職前の事業主に再び雇用された場合には支給対象外となります(雇用保険法規則82条1号)。
    なお、再就職手当の額は、支給残日数の割合によって以下のように変わります。
    支給残日数が所定給付日数の3分の2以上(早期再就職者)
    基本手当日額×支給残日数×70
    支給残日数が所定給付日数の3分の1以上
    基本手当日額×支給残日数×60
  3. 適切。就業促進定着手当は、再就職手当の支給を受けた者が6カ月以上雇用された場合に、その6カ月間のみなし賃金日額が雇用保険の算定基礎賃金日額を下回っている場合に支給されます。再就職先の賃金が低くて離職することを防止するイメージです(雇用保険法56条の3第3項2号)。
    支給額は、原則として算定基礎賃金日額とみなし賃金日額の差額に、再就職後6カ月間の賃金支払い基礎日数を乗じたものとなります。
    就業促進定着手当は、再就職手当の支給を受けた者が、その支給に係る事業所に6カ月以上雇用され、かつ、その6カ月間に支払われた賃金総額を基に算出した賃金日額(みなし賃金日額)が再就職手当の算定基礎賃金日額を下回る場合に支給される。2015.9-4-2
  4. 適切。再就職手当、就業促進定着手当および常用就職支度手当は、就職日前3年以内の就職について、就業手当以外の就業促進手当の支給を受けたことがある場合は支給されません(雇用保険法56条の3第2項)。
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    ※常用就職支度手当は、支給残日数が基本給付日数の3分の1未満である受給資格者や高年齢受給資格者等であって、身体障害者その他就職困難者である者が、1年以上引き続いて雇用されることが確実である安定した職業に就いた場合に支給される手当です。
したがって不適切な記述は[1]です。