FP1級過去問題 2021年1月学科試験 問48

問48

2024年10月に死亡したAさんが所有し、長男Bさんが相続により取得した甲土地および乙土地の概要は、下記のとおりである。甲土地および乙土地に対する「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の取扱いに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。

〈甲土地の概要〉
  • Aさんが所有して居住の用に供していた自宅の敷地(200㎡)である。
  • Aさんの配偶者は既に死亡しており、AさんはAさんの姉と2人で暮らしていた。
  • 長男Bさんは、20年前から賃貸マンション(長男Bさんの親族以外の個人が所有)に居住しており、これまでに自己または自己の配偶者が持家を取得したことはない。
  • 長男Bさんは、相続した甲土地を相続税の申告期限まで保有している。
  • 自宅の建物の相続開始時の価額は350万円で、甲土地の相続開始時の価額は2,000万円である。
〈乙土地の概要〉
  • Aさんが長男Bさんとともに営んでいた飲食店の敷地(200㎡)である。
  • Aさんは、飲食店の建物およびその敷地である乙土地を2023年10月に購入し、事業を開始した。
  • 長男Bさんは、相続した飲食店を相続税の申告期限まで引き続き営んでいる。
  • 長男Bさんは、相続した乙土地を相続税の申告期限まで保有している。
  • 飲食店の建物の相続開始時の価額は300万円で、乙土地の相続開始時の価額は1,000万円である。
  1. 甲土地は特定居住用宅地等に該当し、乙土地は特定事業用宅地等に該当する。
  2. 甲土地は特定居住用宅地等に該当し、乙土地は特定事業用宅地等に該当しない。
  3. 甲土地は特定居住用宅地等に該当せず、乙土地は特定事業用宅地等に該当する。
  4. 甲土地は特定居住用宅地等に該当せず、乙土地は特定事業用宅地等に該当しない。

正解 1

問題難易度
肢153.2%
肢226.5%
肢315.9%
肢44.4%

解説

[甲土地]
特定居住用宅地等に係る取得者ごとの要件は以下の通りです。
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土地を相続した長男Bさんは同居親族ではないので、Bさんが「家なき子特例」の要件を満たすかを考えます。Bさんは、持家を所有したことがなく、20年前から賃貸住宅に住んでいます。さらに、Bさんは申告期限まで宅地の所有権を有しており、Aさんと同居していたAさんの姉は相続人ではありません。よって、特定居住用宅地等として本特例の適用を受けられます

[乙土地]
特定事業用宅地等に係る取得者ごとの要件は以下の通りです。
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Aさんは相続開始前3年以内に乙土地を事業の用に供しています。この場合、原則的には特定事業用宅地等にはならないのですが、「建物300万円/乙土地1,000万円=30%」と一定規模以上の例外要件を満たしているので「3年以内事業宅地等」の制限にかかりません。よって、特定事業用宅地等として本特例の適用を受けられます

したがって適切な記述は[1]です。