FP1級過去問題 2021年5月学科試験 問22

問22

デリバティブを活用したリスクヘッジの提案に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 多くの銘柄の国内上場株式を保有している投資家に対して、国内株式市場における全体的な株価の下落に対するヘッジとして、TOPIX先物の買建てを提案した。
  2. 米ドル建てで決済する輸出業者に対して、円高に対するヘッジとして、米ドル買い/円売りの為替予約を提案した。
  3. 米ドル建てで決済する輸入業者に対して、円安に対するヘッジとして、米ドル・コール/円・プットのオプションの購入を提案した。
  4. TIBORに連動する変動金利の借入れをしている企業に対して、短期金利の上昇に対するヘッジとして、TIBORを対象とするフロアの購入を提案した。

正解 3

問題難易度
肢15.9%
肢222.1%
肢358.0%
肢414.0%

解説

  1. 不適切。先物取引は、将来の売買についてある価格での取引を保証する取引で、価格変動する商品の売買においての価格変動リスクを軽減することができます。
    仮に現時点でのTOPIXが1,000だとすると、将来の一定時点で1,000で買ったり売ったりする取引を決めることになります。1,000で買建てをして株価が下落した場合には、1,000未満で買えるものを1,000で買うことになるので下落による損失は増大します。逆に売建てをしておけば、下落したときに相場より高く売ることができるので株価下落に対するヘッジとなります。
  2. 不適切。為替予約は、将来における外国為替換算レートを現在決めてしまう取引で、為替変動リスクのヘッジに使うことができます。
    円高になると同じ1米ドルで得られる円貨が減るので、売買代金を米ドルで決済する輸出業者にとっては、円換算の売上高が低下することになります。米ドルを一定価格の円で売ることができれば円高のリスクをヘッジできるので、米ドル売り/円買いを行う為替予約するのが適切です。
  3. [適切]。円安になると同じ1米ドルを買うのに必要な円貨が増えるため、売買代金を米ドルで決済する輸入業者にとっては、円換算の支払額が増加することになります。米ドルを一定の価格の円で買うことができれば円安リスクをヘッジできるので、米ドル・コール/円・プット(ドル買い・円売り)のオプションを購入するのが適切です。
  4. 不適切。フロアとは金利オプションの一種で、対象とする金利が下限金利を下回った場合に、フロアの売り手がフロアの買い手に対して超過下落金利相当分の金額を支払うことを約する契約で、金利低下に対するヘッジとなります。金利上昇に対するヘッジは「キャップ」です。
したがって適切な記述は[3]です。