FP1級過去問題 2021年5月学科試験 問21

問21

株式の信用取引に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 制度信用取引における弁済の繰延期限は、証券取引所の規則により、原則として最長6カ月とされている。
  2. 新たに制度信用取引を行う場合に、当該信用取引に係る有価証券の約定価額が60万円であるときは、30万円以上の委託保証金が必要となる。
  3. 委託保証金の代用として有価証券を差し入れる場合、当該有価証券は、その差入れの前日における時価に所定の代用掛目を乗じた金額で評価される。
  4. 建株の配当や株主優待は、それぞれの権利確定日の2営業日前(権利付最終日)までに買い建てることで受け取ることができる。

正解 4

問題難易度
肢17.9%
肢226.9%
肢319.0%
肢446.2%

解説

  1. 適切。信用取引には、制度信用取引と一般信用取引の2種類があります。制度信用取引は、証券取引所の規則等により取引を行うことができる銘柄、品貸料、弁済の繰延期限は最長6カ月と定められています。一方、一般信用取引は投資家と証券会社が直接契約を結ぶため、証券会社が自由に決めることができます。
    制度信用取引については、制度信用取引を行うことができる銘柄、品貸料、弁済の繰延期限が証券取引所の規則等により定められている。2019.5-21-1
    制度信用取引については、制度信用取引を行うことができる銘柄、買方金利・売方金利の利率、品貸料、弁済の繰延期限が証券取引所の規則により定められている。2017.1-19-1
  2. 適切。新たに信用取引を行うときの委託保証金は、約定価額の30%以上、かつ、30万円以上とされています。よって、60万円の取引を行う際でも委託保証金は30万円必要です(内閣府令3条)。
    新たに制度信用取引を行う場合に、当該信用取引に係る有価証券の約定価額が80万円であるときは、30万円以上の委託保証金が必要となる。2017.1-19-3
  3. 適切。委託保証金の差し入れは、現金ではなく現物の有価証券で代用することができます。委託保証金を有価証券で差し入れる場合、差入れ日前日の時価に代用掛目(有価証券合の現金換算比率)を乗じた額で評価されます(内閣府令8条2項)。
    委託保証金代用有価証券として国債を差し入れた場合、当該国債の額面金額の金銭を差し入れたものと同等に取り扱われる。2019.5-21-3
  4. [不適切]。信用取引では証券会社の株式を借りて取引するので、買い建てても株式の所有者になれるわけではありません。よって、権利付最終日に買い建てても配当や株主優待は受け取れません(証券会社から配当調整金が支払われることはあります)。
したがって不適切な記述は[4]です。