FP1級過去問題 2021年5月学科試験 問32

問32

内国法人に係る法人税における貸倒損失の取扱いに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
  1. 遠方にある取引先A社に対して売掛金5万円を有しているが、再三支払の督促をしても弁済がなされず、また取立てに要する旅費等が10万円程度かかると見込まれ、同一地域に他の債務者はいない。この場合、売掛金5万円から備忘価額を控除した残額が貸倒損失として認められる。
  2. 取引先B社に対して貸付金200万円を有しているが、B社の債務超過の状態が相当期間継続し、事業好転の見通しもなく、その貸付金の弁済を受けることができないと認められるため、口頭により貸付金の全額を免除する旨をB社に申し出た。この場合、債務免除をした金額の全額が貸倒損失として認められる。
  3. 取引先C社に対して貸付金600万円を有しているが、C社の資産状況、支払能力等からみてその全額が回収できないことが明らかとなった。この貸付金に係る担保物がある場合、貸付金600万円から担保物の処分可能見込額を控除した残額が貸倒損失として認められる。
  4. 単発の不動産取引のみを行った取引先D社に対して当該取引に係る売掛金800万円を有しているが、D社の資産状況、支払能力等が悪化し、売掛金の回収ができないまま1年以上が経過した。この場合、売掛金800万円から備忘価額を控除した残額が貸倒損失として認められる。

正解 1

問題難易度
肢160.3%
肢28.5%
肢319.3%
肢411.9%

解説

法人税の計算において貸倒損失を計上できるのは、下記に該当する場合に限られています(法人税基本通達9-6)。
  1. [適切]。同一地域に所在する債務者に有する売掛債権の総額が取立てのために要する費用より少ないときは、備忘価額1円を控除した金額を貸倒損失にできます。本肢ではA社と同一地域に他の債務者がいる旨の記載はないので条件に合致し、備忘価額1円を控除した49,999円を貸倒損失として損金算入できます。
  2. 不適切。債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、その金銭債権の弁済を受けることができないと認められた場合には、債務者に対して書面で債務免除の旨を通知した金額が貸倒損失として認められます。本肢は免除する旨を口頭で使えているため貸倒損失として認められません。
  3. 不適切。債務者の資力から金銭債権の全額が回収できないことが明らかになったときには、担保を処分した後の残額について、その全額を貸倒れとして損金処理することができます。担保物を実際に処分した後でなければ貸倒損失の計上はできないので、本肢のように処分見込み額をもとに貸倒損失を計上することはできません。
  4. 不適切。売掛債権の弁済がないまま1年以上を経過した時に、その売掛債権を貸倒損失にできるのは継続的取引状態にあった債務者との関係に限られます。本肢は「単発の」取引先ですので本規定による貸倒損失は認められません。
したがって適切な記述は[1]です。