FP1級 2021年5月 応用編 問54
Aさん(50歳)は、余裕資金を利用し、上場株式への投資を行いたいと考え、2024年5月に証券会社で特定口座(源泉徴収選択口座、株式数比例配分方式)を開設した。Aさんは、同業種のX社とY社に興味を持っており、両社の財務データ等を参考にして投資判断を行いたいと考えている。
そこで、Aさんは、ファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。
〈X社とY社の財務データ〉(単位:百万円)〈X社とY社の株式に関するデータ〉
そこで、Aさんは、ファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。
〈X社とY社の財務データ〉(単位:百万円)〈X社とY社の株式に関するデータ〉
- X社
- 株価6,200円、発行済株式総数300百万株、配当金総額31,500百万円
- Y社
- 株価3,500円、発行済株式総数125百万株、配当金総額3,000百万円
- 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。
問54
《設例》の〈X社とY社の財務データ〉および〈X社とY社の株式に関するデータ〉に基づき、Mさんが、Aさんに対して説明した以下の文章の空欄①~⑦に入る最も適切な語句または数値を、解答用紙に記入しなさい。なお、計算結果は表示単位の小数点以下第3位を四捨五入し、小数点以下第2位までを解答すること。また、問題の性質上、明らかにできない部分は「□□□」で示してある。- 「X社とY社を自己資本当期純利益率で比較すると、X社の値が(①)%、Y社の値が□□□%であり、X社の値のほうが上回っています。この結果について、両社の自己資本当期純利益率を売上高当期純利益率、使用総資本回転率、(②)の3指標に分解して比較してみると、Y社の使用総資本回転率は(③)回、(②)は(④)倍で、いずれもX社の値を上回っていますが、X社の売上高当期純利益率が(⑤)%でY社の値を大きく上回っており、X社の収益性の高さが主たる要因と分析することができます」
- 「X社とY社を株主への利益還元の度合いを測る指標である配当性向で比較すると、X社の値が(⑥)%、Y社の値が□□□%であり、X社のほうが株主への利益還元の度合いが高いといえます。また、配当利回りは、X社株式が□□□%であるのに対してY社株式は(⑦)%となっています」
①% |
② |
③回 |
④倍 |
⑤% |
⑥% |
⑦% |
正解
① 17.73(%) |
② 財務レバレッジ |
③ 0.87(回) |
④ 1.55(倍) |
⑤ 36.12(%) |
⑥ 26.03(%) |
⑦ 0.69(%) |
分野
科目:C.金融資産運用細目:5.株式投資
解説
〔①について〕
自己資本当期純利益率は「当期純利益÷自己資本×100」で求めます。X社の当期純利益は121,000、自己資本の額は、純資産の額から「新株予約権」と「非支配株主持分」の2つを除いた「683,000-400-100=682,500」なので、自己資本当期純利益率は、
121,000÷682,500×100=17.728…%
(小数点以下第3位四捨五入)17.73%
よって、正解は17.73(%)になります。
※その他の包括利益累計額合計がマイナスになっていますが、純資産の部の合計はそれを織り込んだ額になっているので定式どおり計算すればOKです。
〔②について〕
自己資本当期純利益率を求める式は当期純利益自己資本、売上高当期純利益率は当期純利益売上高、使用総資本回転率は売上高総資本です。自己資本当期純利益率に存在しない売上高と総資本が約分で消えることを考えると、②を表す式は総資本自己資本であることがわかります。
当期純利益自己資本=当期純利益売上高×売上高総資本×総資本自己資本
自己資本比率の逆数であり、自己資本に対する総資本の割合を示す指標を「財務レバレッジ」といいます。④の単位が"倍"なので自己資本比率(単位は%)ではダメです。
よって、正解は財務レバレッジになります。
〔③について〕
使用総資本回転率は「売上高÷総資本」で求めます。Y社の売上高は188,000、総資本は215,000ですから、
188,000÷215,000=0.8744…回
(小数点以下第3位四捨五入)0.87回
よって、正解は0.87(回)になります。
〔④について〕
②には財務レバレッジが当てはまりますから、自己資本に対する総資本の割合が入ります。単位は"倍"です。Y社の自己資本は「140,000-400-800=138,800」、総資本(=総資産)は215,000なので、
215,000÷138,800=1.548…
(小数点以下第3位四捨五入)1.55倍
よって、正解は1.55(倍)になります。
〔⑤について〕
売上高当期純利益率は「当期純利益÷売上高×100」で求めます。X社の当期純利益は121,000、売上高は335,000なので、売上高当期純利益率は、
121,000÷335,000×100=36.119…%
(小数点以下第3位四捨五入)36.12%
よって、正解は36.12(%)になります。
〔⑥について〕
配当性向は、当期純利益のうち配当の支払いに充てられた額の割合を示す指標で「配当金総額÷当期純利益×100」で求めます。X社の配当金総額は31,500、当期純利益は121,000なので、配当性向は、
31,500÷121,000×100=26.033…%
(小数点以下第3位四捨五入)26.03%
よって、正解は26.03(%)になります。
〔⑦について〕
配当利回りは、株価に対する年間配当金の割合を示す指標で「1株当たり年間配当金÷株価×100」で求めます。Y社の1株当たり年間配当金は配当金総額と発行済株式総数より「3,000÷125=24円」、株価は3,500円なので、配当利回りは、
24円÷3,500円×100=0.685…%
(小数点以下第3位四捨五入)0.69%
よって、正解は0.69(%)になります。
自己資本当期純利益率は「当期純利益÷自己資本×100」で求めます。X社の当期純利益は121,000、自己資本の額は、純資産の額から「新株予約権」と「非支配株主持分」の2つを除いた「683,000-400-100=682,500」なので、自己資本当期純利益率は、
121,000÷682,500×100=17.728…%
(小数点以下第3位四捨五入)17.73%
よって、正解は17.73(%)になります。
※その他の包括利益累計額合計がマイナスになっていますが、純資産の部の合計はそれを織り込んだ額になっているので定式どおり計算すればOKです。
〔②について〕
自己資本当期純利益率を求める式は当期純利益自己資本、売上高当期純利益率は当期純利益売上高、使用総資本回転率は売上高総資本です。自己資本当期純利益率に存在しない売上高と総資本が約分で消えることを考えると、②を表す式は総資本自己資本であることがわかります。
当期純利益自己資本=当期純利益売上高×売上高総資本×総資本自己資本
自己資本比率の逆数であり、自己資本に対する総資本の割合を示す指標を「財務レバレッジ」といいます。④の単位が"倍"なので自己資本比率(単位は%)ではダメです。
よって、正解は財務レバレッジになります。
〔③について〕
使用総資本回転率は「売上高÷総資本」で求めます。Y社の売上高は188,000、総資本は215,000ですから、
188,000÷215,000=0.8744…回
(小数点以下第3位四捨五入)0.87回
よって、正解は0.87(回)になります。
〔④について〕
②には財務レバレッジが当てはまりますから、自己資本に対する総資本の割合が入ります。単位は"倍"です。Y社の自己資本は「140,000-400-800=138,800」、総資本(=総資産)は215,000なので、
215,000÷138,800=1.548…
(小数点以下第3位四捨五入)1.55倍
よって、正解は1.55(倍)になります。
〔⑤について〕
売上高当期純利益率は「当期純利益÷売上高×100」で求めます。X社の当期純利益は121,000、売上高は335,000なので、売上高当期純利益率は、
121,000÷335,000×100=36.119…%
(小数点以下第3位四捨五入)36.12%
よって、正解は36.12(%)になります。
〔⑥について〕
配当性向は、当期純利益のうち配当の支払いに充てられた額の割合を示す指標で「配当金総額÷当期純利益×100」で求めます。X社の配当金総額は31,500、当期純利益は121,000なので、配当性向は、
31,500÷121,000×100=26.033…%
(小数点以下第3位四捨五入)26.03%
よって、正解は26.03(%)になります。
〔⑦について〕
配当利回りは、株価に対する年間配当金の割合を示す指標で「1株当たり年間配当金÷株価×100」で求めます。Y社の1株当たり年間配当金は配当金総額と発行済株式総数より「3,000÷125=24円」、株価は3,500円なので、配当利回りは、
24円÷3,500円×100=0.685…%
(小数点以下第3位四捨五入)0.69%
よって、正解は0.69(%)になります。
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