FP1級過去問題 2021年9月学科試験 問7

問7

公的年金等に係る所得税等の取扱いに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、各選択肢において、納税者は居住者であるものとし、記載のない事項については考慮しないものとする。
  1. 2年分の国民年金の保険料を前納した納税者は、確定申告等により、納めた全額をその支払った年分の社会保険料控除の対象とすることができる。
  2. 小規模企業共済契約に基づいて共済契約者本人に支給される分割共済金は、公的年金等控除の適用対象となる公的年金等の範囲に含まれる。
  3. 公的年金等に係る雑所得を有する納税者で、その年中の公的年金等の収入金額が400万円以下である者が、その年分の公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下である場合には、原則として、所得税の確定申告書を提出する必要はない。
  4. 老齢基礎年金の受給権者が死亡し、その者に支給すべき年金給付で死亡後に支給期の到来する年金を受給権者の子が受け取った場合、その者が受け取った当該未支給年金は、みなし相続財産として相続税の課税対象となる。

正解 4

問題難易度
肢122.0%
肢219.2%
肢38.4%
肢450.4%

解説

  1. 適切。前納制度に基づき翌年以降分の国民年金保険料を前納した場合、納めた全額をその支払った年分の社会保険料控除の対象とするか、各年分の保険料に相当する額を各年分の対象とするか、いずれかを選択することができます。
    2年分の国民年金保険料を前納した納税者は、納めた全額をその支払った年分の社会保険料控除の対象とするか、各年分の保険料に相当する額を各年分の社会保険料控除の対象とするかのいずれかを選択することができる。2019.1-6-2
  2. 適切。小規模企業共済の共済金は、一括受取りの場合は退職所得扱いに、分割受取りの場合は公的年金等の雑所得扱いとなりますので、公的年金等控除の適用対象があります。
    小規模企業共済契約に基づいて60歳の共済契約者本人に支給される解約手当金は、退職所得として課税の対象となる。2022.1-7-2
  3. 適切。公的年金等に係る雑所得を有する納税者で、その年中の公的年金等の収入金額が400万円以下で、かつ、その年分の公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下である場合は、原則として所得税の確定申告書を提出する必要はありません。
    公的年金等に係る雑所得を有する居住者で、その年中の公的年金等の収入金額が400万円以下であり、かつ、その年分の公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下である場合には、原則として確定申告の必要はない。2023.1-7-3
    公的年金等に係る雑所得を有する納税者で、その年中の公的年金等の収入金額が400万円以下である者が、その年分の公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下である場合には、原則として、所得税の確定申告書を提出する必要はない。2019.1-6-3
    公的年金等の収入金額が300万円を超える場合は、その年分の公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下であっても、所得税の確定申告書を提出しなければならない。2016.1-5-3
  4. [不適切]。未支給年金請求権は相続人が有する権利です。相続人は自身の名で年金を請求するので、受け取った年金は相続財産ではなく相続人の固有財産となります。このため受け取った年金は、相続税の課税対象ではなく一時所得として所得税の課税対象となります。
    老齢基礎年金の受給権者が死亡し、その者に支給すべき年金給付で死亡後に支給期の到来する年金を、生計を同じくしていた受給権者の子が受け取った場合、子が受け取った当該未支給年金は、一時所得として課税の対象となる。2022.1-7-4
    老齢基礎年金および老齢厚生年金の受給権者が死亡し、その死亡した者に支給すべき年金給付で死亡後に支給期の到来する年金を相続人が受け取った場合、相続人が受け取った当該未支給年金は、相続税の課税対象となる。2021.5-7-4
    老齢基礎年金および老齢厚生年金の受給権者が死亡し、その者に支給すべき年金給付で死亡後に支給期の到来する年金を相続人が受け取った場合、相続人が受け取った当該未支給年金は、当該相続人の一時所得に該当する。2019.1-6-4
したがって不適切な記述は[4]です。