FP1級 2021年9月 応用編 問51

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問51

Aさんが、60歳に達するまで国民年金の保険料を納付した場合、Aさんが原則として65歳から受給することができる公的年金の老齢給付について、次の①および②に答えなさい。〔計算過程〕を示し、〈答〉は円単位とすること。また、年金額の端数処理は、円未満を四捨五入すること。
なお、計算にあたっては、下記の〈条件〉に基づき、年金額は、2021年度価額に基づいて計算するものとする。

  1. 老齢基礎年金の年金額はいくらか。
  2. 老齢厚生年金の年金額(本来水準による価額)はいくらか。
  1. 厚生年金保険の被保険者期間
    • 総報酬制導入前の被保険者期間:144月
    • 総報酬制導入後の被保険者期間:18月
  2. 平均標準報酬月額および平均標準報酬額(2021年度再評価率による額)
    • 総報酬制導入前の平均標準報酬月額:28万円
    • 総報酬制導入後の平均標準報酬額:36万円
  3. 報酬比例部分の給付乗率
    51_1.gif./image-size:503×60
  4. 経過的加算額
    51_2.gif./image-size:547×74
  5. 加給年金額
    390,500円(要件を満たしている場合のみ加算すること)

正解 

① 780,900(円)
780,900円×480月480月=780,900円
② 344,129(円)
280,000円×7.1251,000×144月+360,000円×5.4811,000×18月
=322,797円(円未満四捨五入)
1,628円×162月-780,900円×149月480月=21,332円(円未満四捨五入)
322,797円+21,332円=344,129円

分野

科目:A.ライフプランニングと資金計画
細目:5.公的年金

解説

〔①について〕
2021年度の老齢基礎年金の年金額は、以下の算式で求めます。

 780,900円×保険料納付月数480月

保険料の全額免除や一部免除の期間がある場合は、以下の条件に基づき「保険料納付月数」に加算されます。
Aさんは、第2号被保険者期間は厚生年金保険の被保険者であり、その後は第1号被保険者として国民年金の保険料を納付しています。60歳に達するまで国民年金の保険料を納付した場合、保険料納付月数は20歳以降から60歳に達するまでの480月になります。

 780,900円×480月480月=780,900円

よって、正解は780,900(円)です。

〔②について〕
65歳以上の老齢厚生年金の年金額は、以下の算式で求めます。

 報酬比例部分の額+経過的加算額+加給年金額

【報酬比例部分の額】
以下で算出される合計額になります。
  • 平均標準報酬月額×7.1251,000×2003年3月以前の被保険者期間月数
  • 平均標準報酬月額×5.4811,000×2003年4月以降の被保険者期間月数
Aさんの厚生年金被保険者期間は2003年3月以前(総報酬制導入前)が144月、2003年4月以降が18月なので、報酬比例部分の額は、

 280,000円×7.1251,000×144月+360,000円×5.4811,000×18月
=287,280円+35,516.88円=322,796.88円
(円未満を四捨五入して)322,797円

【経過的加算額】
定額部分から老齢基礎年金相当額を差し引いた金額となります。2021年度の老齢基礎年金の満額は780,900円で、被保険者期間の月数は「144月+18月=162月」、20歳以上60歳未満の被保険者期間は20歳未満の13月(1991年4月~1992年4月)を引いた「162月-13月=149月」になります。以上を(4)の計算式にあてはめると、

 1,628円×162月-780,900円×149月480月=21,331.6…
(円未満を四捨五入して)21,332円

【加入年金額】
以下の条件を満たすときに支給されます。
Aさんの厚生年金被保険者期間は162月(<240月)なので加給年金額を受け取ることができません。

以上より、老齢厚生年金の年金額は、

 322,797円+21,332円=344,129円

よって、正解は344,129(円)です。