FP1級 2021年9月 応用編 問54
Aさん(50歳)は、上場株式への投資を行いたいと考えている。Aさんは、同業種の国内企業であり、東京証券取引所市場第一部に上場しているX社およびY社に興味を持ち、連結財務諸表などから作成した財務データ等を参考にして投資判断を行いたいと考えている。
そこで、Aさんは、ファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。
〈X社とY社の財務データ〉(単位:百万円)〈X社とY社の株式に関するデータ〉
そこで、Aさんは、ファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。
〈X社とY社の財務データ〉(単位:百万円)〈X社とY社の株式に関するデータ〉
- X社
- 株価3,600円、発行済株式総数8億株、1株当たり配当金95円(年間)
- Y社
- 株価1,200円、発行済株式総数2億5,000万株、1株当たり配当金34円(年間)
- 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。
問54
《設例》の〈X社とY社の財務データ〉および〈X社とY社の株式に関するデータ〉に基づいて、Mさんが、Aさんに対して説明した以下の文章の空欄①~⑤に入る最も適切な語句または数値を、解答用紙に記入しなさい。なお、計算結果は表示単位の小数点以下第3位を四捨五入し、小数点以下第2位までを解答すること。また、問題の性質上、明らかにできない部分は「□□□」で示してある。- 「株式投資の代表的な評価指標である(①)は、売上高当期純利益率、使用総資本回転率、財務レバレッジの3指標に分解して、要因分析を行うことができます。X社とY社の(①)の値を比較すると、(②)社の値のほうが上回っています。(②)社の値が上回る主な要因は、3指標のうち、(③)によるものであると考えられます」
- 「X社とY社を財務的な安定性を測る指標であるインタレスト・カバレッジ・レシオで比較すると、X社の値が(④)倍、Y社の値が□□□倍です。両社ともに財務的な余裕があるといえます」
- 「X社とY社を株主への利益還元の度合いを測る指標である配当性向で比較すると、X社の値が(⑤)%、Y社の値が□□□%であり、X社の値がY社の値を上回っています」
① |
②社 |
③ |
④倍 |
⑤% |
正解
① ROE |
② Y(社) |
③ 財務レバレッジ |
④ 43.33(倍) |
⑤ 40.43(%) |
分野
科目:C.金融資産運用細目:5.株式投資
解説
〔①について〕
ROEは、自己資本に対してどれだけ利益を上げられるかを示す収益性の指標で「当期純利益÷自己資本×100」の算式で求めますが、上記の式の「売上高純利益率」「使用総資本回転率」「財務レバレッジ」の3指標に分解して分析することができます。
ROE=売上高純利益率×使用総資本回転率×財務レバレッジ
=当期純利益売上高×売上高総資産×総資本自己資本
=当期純利益自己資本
よって、正解はROEとなります。
〔②について〕
自己資本は「純資産-新株予約権-非支配株主持分」の算式で求めるため、X社・Y社の自己資本は、
〔③について〕
X社・Y社の3指標の数値は、
[売上高純利益率]
よって、正解は財務レバレッジとなります。
〔④について〕
インタレスト・カバレッジ・レシオは、借入金などの利息の支払い能力を評価するための指標で、事業利益が金融費用(支払利息・割引料)の何倍であるかを以下の算式で求めます。
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)=事業利益÷金融費用
事業利益は、本業の収益である営業利益に金融収益を足した額です。金融収益とは、営業外利益のうち受取利息・受取配当金・その他投資利益等の合計です。
X社の事業利益は「380,000+6,000+4,000=390,000」、金融費用(支払利息のみ)は9,000なので、インタレスト・カバレッジ・レシオは、
390,000÷9,000=43.333…倍
(小数点以下第3位四捨五入)43.33倍
よって、正解は43.33(倍)となります。
〔⑤について〕
配当性向は、当期純利益のうちどれだけの金額を配当金の支払いに充てたかを示す指標で、「配当金総額÷当期純利益×100」の算式で求めます。X社の配当金総額は76,000、当期純利益は188,000なので、配当性向は、
76,000÷188,000×100=40.425…%
(小数点以下第3位四捨五入)40.43%
よって、正解は40.43(%)となります。
ROEは、自己資本に対してどれだけ利益を上げられるかを示す収益性の指標で「当期純利益÷自己資本×100」の算式で求めますが、上記の式の「売上高純利益率」「使用総資本回転率」「財務レバレッジ」の3指標に分解して分析することができます。
ROE=売上高純利益率×使用総資本回転率×財務レバレッジ
=当期純利益売上高×売上高総資産×総資本自己資本
=当期純利益自己資本
よって、正解はROEとなります。
〔②について〕
自己資本は「純資産-新株予約権-非支配株主持分」の算式で求めるため、X社・Y社の自己資本は、
- X社 1,900,000-4,000-66,000=1,830,000
- Y社 350,000-0-27,000=323,000
- X社 188,000÷1,830,000×100=10.273…%
- Y社 42,500÷323,000×100=13.157…%
〔③について〕
X社・Y社の3指標の数値は、
[売上高純利益率]
- X社 188,000÷3,500,000×100=5.371…
- Y社 42,500÷780,000×100=5.448…
- X社 3,5000,000÷3,600,000=0.977…
- Y社 780,000÷830,000=0.939…
- X社 3,600,000÷1,830,000=1.967…
- Y社 830,000÷323,000=2.569…
よって、正解は財務レバレッジとなります。
〔④について〕
インタレスト・カバレッジ・レシオは、借入金などの利息の支払い能力を評価するための指標で、事業利益が金融費用(支払利息・割引料)の何倍であるかを以下の算式で求めます。
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)=事業利益÷金融費用
事業利益は、本業の収益である営業利益に金融収益を足した額です。金融収益とは、営業外利益のうち受取利息・受取配当金・その他投資利益等の合計です。
X社の事業利益は「380,000+6,000+4,000=390,000」、金融費用(支払利息のみ)は9,000なので、インタレスト・カバレッジ・レシオは、
390,000÷9,000=43.333…倍
(小数点以下第3位四捨五入)43.33倍
よって、正解は43.33(倍)となります。
〔⑤について〕
配当性向は、当期純利益のうちどれだけの金額を配当金の支払いに充てたかを示す指標で、「配当金総額÷当期純利益×100」の算式で求めます。X社の配当金総額は76,000、当期純利益は188,000なので、配当性向は、
76,000÷188,000×100=40.425…%
(小数点以下第3位四捨五入)40.43%
よって、正解は40.43(%)となります。
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