FP1級 2021年9月 応用編 問59
問59
法人税に関する以下の文章の空欄①~⑧に入る最も適切な語句または数値を、解答用紙に記入しなさい。〈青色申告法人の欠損金の繰越控除〉
- 「2021年4月1日から2022年3月31日までの間に開始する事業年度において、損金の額に算入することができる欠損金額は、事業年度終了の日における資本金の額または出資金の額が(①)円以下の中小法人等については、繰越欠損金控除前の所得の金額が限度となりますが、中小法人等以外の法人については、繰越欠損金控除前の所得の金額の(②)%相当額が限度となります。
2021年度税制改正により、カーボンニュートラル、DX、事業再構築・再編等に係る投資額の範囲内において、繰越欠損金の控除上限を、最長(③)年間、現行の(②)%から最大100%まで引き上げる特例が創設されています。特例の対象となる欠損金は、原則として、2020年度および2021年度に生じた欠損金になります」
- 「2021年度税制改正により、中小企業の経営資源の集約化に資する税制(経営資源集約化税制)が創設されています。M&Aによる規模拡大を通じた中小企業の生産性向上と増加する廃業に伴う地域の経営資源の散逸の回避の双方を実現することを目的として、『設備投資減税・雇用確保を促す税制・準備金の積立』の3つの措置をセットで適用することを可能とする税制です。
中小企業経営強化税制において、M&Aの効果を高める設備として「経営資源集約化設備(D類型)」が追加されています。D類型の対象は、計画終了年度に修正(④)または有形固定資産回転率が一定以上上昇する経営力向上計画を実施するために必要不可欠な設備とされています。
また、M&Aに伴って行われる労働移転等により、雇用者給与等支給額を前年度比(⑤)%以上引き上げる等の一定の要件を満たした場合、所得拡大促進税制の上乗せ措置の適用により、雇用者給与等支給額の増加額の(⑥)%を税額控除(法人税額の20%相当額が上限)することができます。
中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受けた中小企業者が、M&A実施後の株式等の価格の低落による損失に備えるために、その株式等の取得価額の(⑦)%以下の金額を中小企業事業再編投資損失準備金として積み立てたときは、当該金額をその事業年度の損金の額に算入することができます。中小企業事業再編投資損失準備金は、取得した株式等を継続保有していれば、積み立てた事業年度終了の日の翌日から(⑧)年間は据置き、その後の(⑧)年間で準備金残高の均等額を取り崩して、益金の額に算入します」
①円 |
②% |
③年間 |
④ |
⑤% |
⑥% |
⑦% |
⑧年間 |
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正解
① 1億(円) |
② 50(%) |
③ 5(年間) |
④ ROA |
⑤ 2.5(%) |
⑥ 25(%) |
⑦ 70(%) |
⑧ 5(年間) |
分野
科目:D.タックスプランニング細目:10.法人税
解説
〔①について〕損金の額に算入できる欠損金額は、中小法人等については繰越欠損金控除前の所得金額が限度となりますが、中小法人等とは、普通法人のうち資本金もしくは出資金の額が1億円以下である法人をいいます。
よって、正解は1億(円)です。
〔②について〕
中小法人等以外の法人が損金の額に算入できる欠損金額は、繰越欠損金控除前の所得の金額の50%が限度となります。
よって、正解は50(%)です。
〔③について〕
2021年度税制改正において、2020年度・2021年度に生じた欠損金については最長5年間、カーボンニュートラル、DX(ディジタルトランスフォーメーション)等の事業再構築・再編に係る投資額の範囲で、所得金額の100%まで控除できることになりました。
よって、正解は5(年間)です。
〔④について〕
中小企業経営強化税制においては、生産性向上設備(A類型)、収益力強化設備(B類型)、デジタル化設備(C類型)がありましたが、2021年度より、経営資源集約化設備(D類型)が追加になりました。D類型は、修正ROAまたは有形固定資産回転率が一定以上向上する設備が対象になります。
よって、正解はROAです。
〔⑤について〕
所得拡大促進税制では、M&Aに伴って行われる労働移転等によって給与等支給総額を前年度比で2.5%以上引き上げた場合、税額控除の適用を受けることができます。
よって、正解は2.5(%)です。
〔⑥について〕
所得拡大促進税制の適用要件を満たした場合、給与等支給総額の増加額の25%を税額控除することができます。
よって、正解は25(%)です。
〔⑦について〕
M&A実施後のリスクを軽減するため、その株主等の取得価額の70%以下の金額を準備金として積み立てたときは、その金額を損金算入することができます。
よって、正解は70(%)です。
〔⑧について〕
積み立てた準備金には5年間の据置期間が設けられており、据置期間経過後、その後の5年間で均等に取り崩して益金算入されます。
よって、正解は5(年間)です。
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