FP1級 2021年9月 応用編 問61
問61
甲土地および自宅(建物とその敷地である乙土地)の譲渡に関する以下の文章の空欄①~④に入る最も適切な数値を、解答用紙に記入しなさい。また、空欄⑤に入る最も適切な文章を、下記〈空欄⑤の選択肢〉のなかから選び、その記号を解答用紙に記入しなさい。なお、問題の性質上、明らかにできない部分は「□□□」で示してある。〈甲土地の売却〉
- 「譲渡した年の1月1日における所有期間が(①)年を超える土地等を優良住宅地等のために譲渡した場合、優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例の適用を受けることができます。本特例の適用を受けた場合、課税長期譲渡所得金額が(②)万円以下の部分については、□□□%の軽減税率が適用されます」
- 「Aさんが、下記の資料および条件に基づき、現在の自宅を譲渡し、自宅を買い換えて、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除および居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例の適用を受けた場合、当該譲渡所得の金額に係る所得税および復興特別所得税、住民税の合計額は(③)円となります」
- 「Aさんが、下記の資料および条件に基づき、現在の自宅を譲渡し、自宅を買い換えて、特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例の適用を受けた場合、当該譲渡所得の金額に係る所得税および復興特別所得税、住民税の合計額は(④)円となります。Aさんが、本特例の適用を受けた場合、買換資産は譲渡資産の(⑤)」
- 譲渡資産(自宅)の譲渡価額
- 6,000万円
- 譲渡資産(自宅)の取得費
- 不明
- 譲渡費用
- 300万円
- 買換資産(マンション)の取得価額
- 5,500万円
- 空欄③・④は、100円未満を切り捨てること。
また、本問の譲渡所得以外の所得や所得控除等は考慮しないものとする。
- 取得価額および取得時期を引き継ぎます
- 取得価額を引き継ぎ、取得時期は引き継ぎません
- 取得価額は引き継ぎませんが、取得時期を引き継ぐことになります
- 取得価額および取得時期の引継ぎはしないこととされています
①年 |
②万円 |
③円 |
④円 |
⑤ |
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正解
① 5(年) |
② 2,000(万円) |
③ 3,410,400(円) |
④ 914,100(円) |
⑤ ロ |
分野
科目:E.不動産細目:5.不動産の譲渡の係る税金
解説
〔①について〕優良住宅地の造形等とは、主に国や地方公共団体、独立行政法人が行う一定の優良建築物の建築、住宅地造成、公共施設整備等を言います。これらのために土地等を譲渡した場合、長期譲渡所得について軽減税率の特例を受けることができます。この特例の適用要件として、譲渡した年の1月1日における所有期間が5年を超えている必要があります。
よって、正解は5(年)です。
〔②について〕
本特例の適用を受けた場合、課税長期譲渡所得金額2,000万円以下の部分について、所得税10%、復興特別所得税0.21%、住民税4%の軽減税率が適用になります。
よって、正解は2,000(万円)です。
〔③について〕
「3,000万円の特別控除」の適用を受けた場合の課税譲渡所得金額は「収入金額-(取得費+譲渡費用)-3,000万円」で算出します。
- 取得費:取得費が不明の場合、収入金額の5%により算出される金額を概算取得費とするため、6,000万円×5%=300万円
- 譲渡費用:300万円
6,000万円-(300万円+300万円)-3,000万円=2,400万円
長期譲渡所得の課税の特例(軽減税率の特例)の適用を受けた場合、6,000万円以下の部分については、所得税10%、復興特別所得税0.21%、住民税4%の軽減税率が適用されます。
- 所得税および復興特別所得税
- 2,400万円×10.21%=2,450,400円
- 住民税
- 2,400万円×4%=960,000円
- 合計額
- 2,450,400円+960,000円=3,410,400円
〔④について〕
「買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例」では、譲渡所得のうち買換え資産の取得価額に相当する部分の課税を繰り延べることができます。
譲渡資産の譲渡価額よりも買換資産の取得価額のほうが少ないときは、その差額についてのみ譲渡があったものとして課税されます。したがって収入金額は、
6,000万円-5,500万円=500万円
③より取得費は300万円、譲渡費用は300万円、合計で必要経費は600万円です。しかし、この600万円は6,000万円の譲渡資産の譲渡に要した金額ですから、全額を差し引くことはできず、そのうち収入金額500万円に相当する金額だけを計上します。収入金額500万円に係る取得費と譲渡費用の合計額は、
500万円×600万円6,000万円=50万円
よって、譲渡所得は「500万円-50万円=450万円」となります。長期譲渡所得の原則的な税率は、所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%なので、
- 所得税および復興特別所得税
- 450万円×15.315%=689,175円
(100円未満切り捨て)689,100円 - 住民税
- 450万円×5%=225,000円
- 合計額
- 689,100円+225,000円=914,100円
〔⑤について〕
「買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例」の適用を受けた場合の買替資産は、譲渡資産の取得価額を引き継ぎます。一方、取得時期については買換資産を取得したときとなり、譲渡した居住用財産の取得時期を引き継ぐことはできません(所有期間は0からカウントされます)。
よって、正解はロとなります。
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