FP1級過去問題 2022年5月学科試験 問16(改題)

問16

景気動向指数に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 景気動向指数のDI(ディフュージョン・インデックス)は、主として景気拡張の動きの各経済部門への波及度合いを測定することを目的としており、基準年の2020年を100として、3カ月以上連続して、3カ月後方移動平均が下降していれば、景気後退の可能性が高いと判断される。
  2. 日本銀行が公表するマネーストック統計は、金融機関および中央政府以外の経済主体が保有する通貨量の残高を集計した統計であり、最も容易に決済手段として用いることができる現金通貨と預金通貨から構成される「M1」が景気動向指数の先行系列に採用されている。
  3. 先行系列には、東証株価指数、実質機械受注(製造業)、新設住宅着工床面積など、11系列が採用されている。
  4. 厚生労働省が公表する有効求人倍率(除学卒)は先行系列に採用され、総務省が公表する完全失業率は遅行系列に採用されている。

正解 3

問題難易度
肢117.4%
肢211.1%
肢357.7%
肢413.8%

解説

  1. 不適切。景気動向指数のDIは、景気の方向性を判定するための指標です。景気の変動を受けやすい複数の指標の値をそれぞれ3ヶ月前の値と比較し、プラスに変化した指標数の割合を表しています。DIの数値が50%を超えれば景気の拡張局面、50%を下回れば景気の後退局面と判断されます。基準値を100として比較するのはCI(コンポジット・インデックス)なので誤りです。
  2. 不適切。マネーストック統計は、金融機関・中央政府以外の経済主体が保有する通貨量の残高を集計した統計です。マネーストック統計には集計する通貨の範囲に応じて、M1、M2、M3、広義流動性の4つの指標がありますが、景気動向指数の先行系列に採用されているのは「M2」のみです。
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  3. [適切]。景気動向指数は全30系列で構成され、先行系列が11つ、一致系列が10つ、遅行系列が9つとなっています。先行系列には、東証株価指数、実質機械受注(製造業)、新設住宅着工床面積、新規求人数(除学卒)、消費者態度指数などがあります。
  4. 不適切。有効求人倍率(除学卒)は、有効求職者数に対する有効求人数の割合(有効求人数÷有効求職者数)で一致系列に採用されています。完全失業率は、総務省が毎月公表する満15歳以上の働く意思を持つ労働力人口に占める完全失業者数の割合(完全失業者数÷労働者人口)で遅行系列に採用されています。
したがって適切な記述は[3]です。