FP1級過去問題 2022年5月学科試験 問15

問15

事業活動に係る各種損害保険の一般的な商品性に関する次の記述のうち、適切なものはいくつあるか。
  1. 労働災害総合保険は、労働者災害補償保険(政府労災保険)等の上乗せ補償を目的とした「法定外補償保険」と、労働災害により使用者が法律上の損害賠償責任を負うことによって被る損害を補償する「使用者賠償責任保険」の2つの補償から構成されており、いずれか一方のみに加入することも可能である。
  2. ビル改修工事の完了後、工事結果の不良により通行人が滑って転倒し、ケガをしたケースのように、工事の結果に起因して法律上の損害賠償責任を負うことによって被る損害は、生産物賠償責任保険(PL保険)の補償の対象となる。
  3. 飲食店の従業員が自転車で弁当の配達中に誤って通行人に衝突して負傷させた場合に、通行人に対して法律上の損害賠償責任を負うことによって被る損害は、施設所有(管理)者賠償責任保険の補償の対象となる。
  1. 1つ
  2. 2つ
  3. 3つ
  4. 0(なし)

正解 3

問題難易度
肢120.1%
肢228.2%
肢347.6%
肢44.1%

解説

  1. 適切。労働災害総合保険は、従業員の労働災害について政府労災保険等の上乗せ補償を行う企業向けの商品です。「法定外補償保険」と「使用者賠償責任保険」の2つの補償から構成され、どちらか一方の契約も可能です。
    法定外補償保険
    労災保険からの給付が、労働協約、就業規則等で定められる災害補償額に足りない場合、その不足額を支払ったことによる損失を補償する
    使用者賠償責任保険
    従業員から使用者責任を問われたことにより法律上の損害賠償責任が生じた場合に、その賠償金支払いにより生じた損失を補償する
    使用者賠償責任保険は、労災に被災した従業員やその遺族からの損害賠償に備える保険であり、第三者への損害賠償は対象外です。
    労働災害総合保険は、労働者災害補償保険(政府労災保険)の上乗せ補償を目的とした「法定外補償保険」と、従業員の仕事の遂行が原因となり、第三者に損害を与え、法律上の損害賠償責任を負うことによって被る損害を補償する「使用者賠償責任保険」の2つの補償から構成されている。2021.9-15-a
    労働災害総合保険は、労働者災害補償保険の上乗せ補償を目的とした「法定外補償保険」と、従業員の仕事の遂行が原因となり、第三者に損害を与え、法律上の損害賠償責任を負うことによって被る損害を補償する「使用者賠償責任保険」の2つの補償から構成されている。2014.9-15-2
  2. 適切。生産物賠償責任保険(PL保険)は、被保険者が製造および販売によって他人に引き渡した物体的な物、または行った仕事の結果が原因となり、他人の生命や身体および財産を侵害してしまった際に負担する法律上の賠償責任を補償する保険です。
    ビル改修工事の完了後、工事結果の不良により通行人が滑って転倒し、ケガをしたケースは、工事業者の「施工結果」による事故によって生じた損害になるので、生産物賠償責任保険の補償の対象となります。
    請負業者賠償責任保険は、マンションの改修工事の完了後、工事結果の不良のために住民が転倒し、ケガをしたケースのように、工事の結果によって法律上の損害賠償責任を負った場合に補償の対象となる。2022.1-15-b
  3. 適切。従業員が、業務遂行中に他人の身体に危害を及ぼしたり財物に損害を与えたことによる賠償責任は「施設所有(管理)者賠償責任保険」でカバーします。
    飲食店の従業員が自転車で商品配達中に誤って通行人に衝突して負傷させた場合に、通行人に対して法律上の損害賠償責任を負うことによって被る損害は、施設所有(管理)者賠償責任保険の補償の対象となる。2021.9-15-b
したがって適切なものは「3つ」です。