FP1級過去問題 2022年5月学科試験 問38

問38

建築基準法に規定する建築物の高さの制限、日影規制(日影による中高層の建築物の高さの制限)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 田園住居地域内における建築物の高さは、原則として、10mまたは12mのうち都市計画で定められた限度を超えることができない。
  2. 道路斜線制限は、すべての用途地域内における一定の建築物に適用される。
  3. 第二種中高層住居専用地域内において日影規制が適用される建築物には、北側斜線制限は適用されない。
  4. 天空率により計算した採光、通風等が各斜線制限および日影規制により高さが制限された場合と同程度以上である建築物を建築する場合、当該建築物については、各斜線制限および日影規制は適用されない。

正解 4

問題難易度
肢14.3%
肢213.6%
肢318.4%
肢463.7%

解説

  1. 適切。用途地域のうち、低層住宅の良好な住環境を守る目的で指定される「第一種低層住居専用地域」「第二種低層住居専用地域」「田園住居地域」の3地域については、建築物の高さは10mまたは12mのうち、都市計画で定められた高さを超えてはいけないという制限があります。これを「絶対高さ制限」といいます(建築基準法54条)。
    第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域または田園住居地域内における建築物の高さは、原則として、12mまたは15mのうち都市計画で定められた限度を超えることができない。2020.1-37-1
    第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域内における建築物の高さは、原則として、10mまたは12mのうち都市計画で定められた限度を超えることができない。2017.1-36-1
  2. 適切。道路斜線制限とは、道路の日照や採光・通風に支障をきたさないように建築物の高さを規制したルールのことで、すべての用途地域内および用途地域の指定のない区域内で適用されます(建築基準法56条1項1号)。
    建築物の高さに係る道路斜線制限は、すべての用途地域に対して適用される。2014.9-38-2
  3. 適切。第二種中高層住居専用地域内の建築物は、原則として北側斜線制限の適用を受けますが、日影規制が適用される高さ10mを超える建築物については、北側斜線制限は適用されません(建築基準法56条1項3号)。
    第一種中高層住居専用地域および第二種中高層住居専用地域内において日影による中高層の建築物の高さの制限(日影規制)が適用される建築物には、北側の隣地の日照を確保するための建築物の各部分の高さの制限(北側斜線制限)は適用されない。2021.1-37-3
    第一種中高層住居専用地域および第二種中高層住居専用地域内において日影規制が適用される建築物については、北側の隣地の日照を確保するための建築物の各部分の高さの制限(北側斜線制限)は適用されない。2019.1-36-2
  4. [不適切]。天空率とは、ある位置から建物を見た時の全天に対する空の面積の比率を表しています。天空率に適合する建築物について制限が緩和されるのは、道路斜線制限・隣地斜線制限・北側斜線制限の3つになり、日影規制は天空率に多寡によらず適用されます。
したがって不適切な記述は[4]です。