FP1級過去問題 2022年9月学科試験 問23

問23

国内の証券会社の特定口座(源泉徴収選択口座)において米国上場株式の取引を行った場合における税金に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、いずれの選択肢も一定の大口株主等が受けるものを除くものとする。
  1. 米国上場株式の配当に係る金額は、米国での源泉徴収は行われず、国内において源泉徴収が行われ、総合課税、申告分離課税、確定申告不要制度のいずれかの課税方式を選択する。
  2. 米国上場株式の譲渡益の金額は、米国での源泉徴収は行われず、国内において源泉徴収が行われ、申告分離課税、確定申告不要制度のいずれかの課税方式を選択する。
  3. 米国上場株式の譲渡損失の金額は、同一の特定口座内の国内上場株式等の譲渡益の金額等と通算され、さらに当該口座に受け入れた上場株式等の配当と損益通算することができる。
  4. 外国の法令により所得税に相当する租税を納付することとなる場合、一定の算式に基づいて計算した金額を限度として、その外国税額をその年分の所得税額から差し引くことができる。

正解 1

問題難易度
肢142.8%
肢217.8%
肢328.0%
肢411.4%

解説

  1. [不適切]。国内の証券会社を通じて受け取る外国上場株式の配当は、まず外国で源泉徴収され、残額について日本国内で20.315%(所得税等15.315%、住民税5%)が源泉徴収されます。外国で源泉徴収された分は、外国税額控除により一定の範囲で所得税額から控除されます。総合課税、申告分離課税、確定申告不要制度のいずれかを選択できることは国内上場株式と同じですが、総合課税を選択しても配当控除の適用が受けられないという点が異なります。
  2. 適切。国内の証券会社を通じて受け取る外国上場株式の譲渡益は、租税条約により外国では源泉徴収されず、日本国内でのみ源泉徴収されます。国内上場株式の申告方法と同じく、申告分離課税・確定申告不要のいずれかを選択をすることができます。
  3. 適切。外国上場株式の譲渡損失は、国内株式と同じように同一年の株式の譲渡所得や申告分離課税を選択した配当所得と損益通算することができます。損失が上回る場合は、確定申告することで翌年以降3年間、その損失額を繰り越すことができます。
    源泉徴収選択口座内における上場株式等の譲渡益と、当該口座に受け入れた上場株式等の配当等に係る配当所得について、いずれかのみを申告することはできない。2023.1-22-2
  4. 適切。外国の法令に基づいて所得税に相当する納税をした場合、納付済みの税金の全部または一部を外国税額控除としてその年分の所得税額から控除可能することができます。
     外国税額控除額=所得税額×国外所得金額所得総額
したがって不適切な記述は[1]です。

※解説では外国上場株式としていますが、日本との租税条約が締結されている国に限ります。