FP1級過去問題 2022年9月学科試験 問22

問22

ポートフォリオ理論に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. ポートフォリオのリスクは、分散投資により消去可能な非市場リスク(アンシステマティック・リスク)と、分散投資によっても消去不可能な市場リスク(システマティック・リスク)に分けられる。
  2. 最適ポートフォリオとは、効率的フロンティアとリスク回避的な投資家の無差別曲線の接する点の効率的ポートフォリオで、その投資家の効用を最大化するポートフォリオのことをいう。
  3. 効率的フロンティアとは、リスク回避的な投資家が選択する効率的な資産の組合せの集合である。
  4. リスク回避的な投資家が、危険資産と安全資産によって構成されるポートフォリオを考える場合、危険資産のみのポートフォリオの組合せは、その投資家のリスクとリターンに関する選好に依存する。

正解 4

問題難易度
肢115.4%
肢215.0%
肢319.5%
肢450.1%

解説

  1. 適切。ポートフォリオのリスクには非市場リスク(アンシステマティック・リスク)と市場リスク(システマティック・リスク)があります。
    市場リスク(システマティック・リスク)
    分散投資によっても消去できない市場全体のリスク。マーケットリスク、分散不能なリスクとも呼ばれる
    非市場リスク(アンシステマティック・リスク)
    分散投資によって消去できるリスク。個別リスク、ユニークリスク、分散可能なリスクとも呼ばれる
    ポートフォリオのリスクは、分散投資により消去可能な市場リスク(システマティック・リスク)と、分散投資によっても消去不可能な非市場リスク(アンシステマティック・リスク)に分けられる。2024.9-22-1
  2. 適切。最適ポートフォリオとは、投資家の満足度が最大になるポートフォリオです。縦軸をリターン、横軸をリスクとしたときに、効率的フロンティアと効用無差別曲線が接する点が、同じ収益率を上げるポートフォリオの中から最も低リスクとなるように組み合わせた効率的ポートフォリオであり、効率的フロンティア上で投資家の効用を最大にするポートフォリオであるといえます。
  3. 適切。効率的フロンティアとは、危険資産を組み合わせたポートフォリオの中で、同じリスクで最大のリターンを獲得できるポートフォリオの集合のことをいいます。縦軸にリターン、横軸にリスクをとったグラフ上において、曲線で「く」の字型の曲線で表されます。
  4. [不適切]。投資家のリスク選好のタイプとしては、リスク回避的、リスク愛好的、リスク中立的の3種類があります。ファイナンス理論では、同じリターンであれば、よりリスクが少ない選択を行う「リスク回避的な投資家」を前提としています。
    分離定理によれば、危険資産の最適な組合せは投資家の選好によらず接点ポートフォリオに一意に決まり、投資家のリスク選好に依存するのは接点ポートフォリオと安全資産の保有割合だけであるとされています。
    リスク回避的な投資家が、危険資産と安全資産によって構成されるポートフォリオを考える場合、分離定理によれば、危険資産の組合せは、その投資家のリスクとリターンに関する選好に依存する。2024.9-22-3
したがって不適切な記述は[4]です。