FP1級過去問題 2023年1月学科試験 問22

問22

特定口座に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、本問における簡易申告口座とは、特定口座のうち源泉徴収がされない口座をいう。
  1. 複数の金融機関で源泉徴収選択口座を開設した場合、源泉徴収選択口座内の上場株式等を譲渡したことによる譲渡所得を申告するかどうかは口座ごとに選択することができる。
  2. 源泉徴収選択口座内における上場株式等の譲渡益と、当該口座に受け入れた上場株式等の配当等に係る配当所得について、いずれかのみを申告することはできない。
  3. 源泉徴収選択口座内における上場株式等の譲渡益は、申告をしなければ合計所得金額に含まれないが、申告をすると合計所得金額に含まれる。
  4. 簡易申告口座は、当該口座において毎年最初の売却取引または信用取引等の差金決済を行う前であれば、年の途中であっても、所定の手続により当該口座を源泉徴収選択口座に変更することができる。

正解 2

問題難易度
肢117.7%
肢230.1%
肢325.7%
肢426.5%

解説

  1. 適切。特定口座は1金融機関につき1つ開設できるので、1人が複数の特定口座を保有することもできます。申告するか・申告不要とするかどうかは特定口座ごとに選択することができるので、損益通算や繰越控除の適用を受けたい分だけ申告し、残りは申告不要とするなどが可能です。
  2. [不適切]。本肢のように、源泉徴収選択口座内の譲渡益と同一口座内の利子所得・配当所得のいずれかのみを申告することはできます。ただし、源泉徴収選択口座内の譲渡損失を申告する場合には、同一口座内の利子所得・配当所得の金額を併せて申告する必要があります。
  3. 適切。確定申告不要制度は、他の所得と全く分離して、所得の支払の際に一定の税率で源泉徴収し、それだけで納税が完結する仕組みです。確定申告不要制度の適用を受けて確定申告をしないことを選択した場合、確定申告不要とした譲渡益や配当所得は合計所得金額に含まれません。確定申告不要は、もともと預貯金並みの手軽さで株式投資ができるように税制を簡素化するという目的があり、預貯金の利子と同様の扱いになったという経緯があります。
  4. 適切。簡易申告口座(いわゆる源泉徴収なしの特定口座)から源泉徴収選択口座への年途中での変更は、その年に最初の売却取引(売却・解約・償還等)が発生する前であれば行うことができます。逆に、年の途中で源泉徴収選択口座から簡易申告口座に変更するには、売却取引に加えて利子・配当金の支払いがその年にまだないことが必要です。
したがって不適切な記述は[2]です。