FP1級過去問題 2022年9月学科試験 問31

問31

ふるさと納税に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
  1. ふるさと納税では、原則として、市町村等の自治体に対する寄附額のうち5,000円を超える金額が所得税額または住民税額の計算にあたって控除されるが、控除額には収入や家族構成等に応じて一定の上限がある。
  2. ふるさと納税ワンストップ特例制度は、納税者が寄附を行う自治体の長に対して、当該自治体の長から当該納税者の住所地の市区町村長に、申告特例通知書の送付を求めることによって、確定申告書を提出することなく寄附金税額控除の適用を受けることができる制度である。
  3. ふるさと納税ワンストップ特例制度の適用を受けた場合、所得税額からの控除は発生せず、ふるさと納税を行った翌年の6月以降に支払うべき住民税額から控除される。
  4. ふるさと納税をした者が、寄附に対する謝礼として受け取った返礼品に係る経済的利益は、一時所得として総合課税の対象となる。

正解 1

問題難易度
肢162.9%
肢29.2%
肢35.5%
肢422.4%

解説

  1. [不適切]。ふるさと納税した額は、寄附額のうち自己負担額2,000円を超える部分について、ふるさと納税を行った年の所得金額とその翌年の住民税の所得金額から控除されます。それぞれ以下の控除限度額があります。
    所得税の控除上限
    (ふるさと納税額-2,000円)×所得税率
    ※ふるさと納税額は総所得金額等の40%が限度
    住民税(基本分)の控除上限
    (ふるさと納税額-2,000円)×10%
    ※ふるさと納税額は総所得金額等の30%が限度
    住民税(特例分)の控除上限
    (ふるさと納税額-2,000円)×(90%-所得税率)
    ※控除額は住民税所得割額の20%が限度
  2. 適切。ふるさと納税ワンストップ特例制度の適用を受けるためには、寄附先の自治体に対して「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を提出します。その後、申請書を受け取った寄付先の自治体から、納税者の住所地の自治体に寄附金税額控除額の控除に関する事項を記載した書面(申告特例通知書)が送付されることで、確定申告書を提出することなく翌年の住民税に対する寄附金税額控除の適用を受けることができる仕組みになっています。
  3. 適切。ふるさと納税ワンストップ特例制度を利用した場合は、寄附全額が翌年の住民税額から控除されます。確定申告で適用を受けるふるさと納税のように、所得税の還付を受けることはできません。
  4. 適切。寄附者が特産品を受けた場合の経済的利益は、一時所得に該当します。なお、その年中にこの特産品に係る一時所得のほかに一時所得に該当するものがないときには、特別控除額50万円があるので課税関係は生じません。
したがって不適切な記述は[1]です。