FP1級過去問題 2023年1月学科試験 問17

問17

投資信託のディスクロージャーに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 交付目論見書は、投資者が直接的または間接的に負担することとなる費用について、購入時手数料の上限金額または上限料率、運用管理費用(信託報酬)の金額または料率に関する事項に加え、当該費用を対価とする役務の内容等を記載しなければならない。
  2. 交付運用報告書は、日々決算型投資信託を除き、投資信託の決算期ごとに作成し、投資家に交付しなければならない。
  3. 交付運用報告書は、運用経過の説明や今後の運用方針などのほか、一定の期間における当該投資信託の騰落率と代表的な資産クラスの騰落率を比較して記載することとされている。
  4. 投資信託委託会社または販売会社は、運用報告書(全体版)について、投資信託約款に定められた電磁的方法により提供することができるが、投資者から当該運用報告書の交付の請求があった場合には、これを交付しなければならない。

正解 2

問題難易度
肢120.5%
肢254.3%
肢317.3%
肢47.9%

解説

  1. 適切。交付目論見書は、投資信託を販売する際に投資家に対し投資判断に必要な内容を開示する資料のことで、①ファンドの名称、②委託会社等の情報、③ファンドの目的・特色、④投資リスク、⑤運用実績、⑥手続・手数料が記載されています。各項目の記載順や記載内容は法で規制されており、購入時手数料にあっては金額または料率の上限、運用管理費用(信託報酬)にあっては金額または料率を記載するとともに、徴収方法・徴収時期・当該手数料を対価とする役務の内容を記載しなければなりません。
    交付目論見書には、投資者が直接的または間接的に負担することとなる購入時手数料や運用管理費用(信託報酬)について、その金額または料率に関する事項に加え、当該手数料等を対価とする役務の内容を記載することが義務付けられている。2018.9-18-1
  2. [不適切]。交付運用報告書は、運用報告書(全体版)の記載事項のうち重要な事項のみを抜粋したものです。その名の通り、投資家に書面で交付することが義務付けられています。交付運用報告書は、運用報告書(全体版)と同じく、原則として投資信託の決算期ごとに作成されますが、計算期間が6カ月未満の投資信託(日々決算型や毎月決算型)は、6カ月に1回、作成し交付すれば良いことになっています。日々決算型だけでなく、毎月決算型なども決算期ごとに作成しなくても良いため誤りです。
    交付運用報告書は、日々決算型投資信託を除き、投資信託の決算期ごとに作成し、投資者に交付することが義務付けられている。2018.9-18-2
  3. 適切。交付運用報告書には、運用報告書(全体版)の記載事項のうち、運用方針、計算期間中の運用経過、運用状況の推移、費用の額、組入資産の内容・比率、当該投資信託の騰落率と代表的な資産クラスの騰落率の比較についてのデータなどの重要なものが記載されています。
    交付運用報告書には、運用経過の説明や今後の運用方針などのほか、一定の期間における当該投資信託の騰落率と代表的な資産クラスの騰落率を比較して記載することとされている。2020.9-18-2
  4. 適切。運用報告書(全体版)は、投資信託約款に定めておけば書面での交付に代えて記載事項を電磁的方法により提供することができますが、投資家から請求があった場合は書面で交付しなければなりません。
    投資信託委託会社は、運用報告書(全体版)について、投資信託約款に定められた電磁的方法により提供している場合は、投資者から交付の請求があったとしても、その交付は要しない。2020.9-18-3
したがって不適切な記述は[2]です。