FP1級過去問題 2023年1月学科試験 問36

問36

宅地建物取引業法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 消費税の課税事業者である宅地建物取引業者が、宅地の売買の媒介に関して売主および買主の双方から報酬を受け取る場合、売主または買主の一方から受け取ることのできる報酬の額は、宅地の売買金額が400万円超の場合、「売買金額×3.3%+6万6,000円」が限度となる。
  2. 消費税の課税事業者である宅地建物取引業者が、建物の賃借の媒介に関して貸主および借主の双方から報酬を受け取る場合、貸主または借主の一方から受け取ることのできる報酬の額は、借賃額(消費税を除く)の1カ月分の1.1倍が限度となる。
  3. 宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地の売買契約において、買主が宅地建物取引業者である場合、当該売買契約が成立するまでの間に、重要事項説明書を交付すれば、宅地建物取引士にその内容を説明させる必要はない。
  4. 宅地建物取引業者は、建築後、使用されたことのある建物の売買または交換の媒介の契約を締結したときは、遅滞なく、建物状況調査(インスペクション)を実施する者のあっせんに関する事項を記載した書面を契約の依頼者に交付しなければならない。

正解 2

問題難易度
肢120.2%
肢245.8%
肢324.8%
肢49.2%

解説

  1. 適切。宅地建物取引業者が、売買・交換の媒介で依頼者の一方から受けることのできる報酬限度額は、売買金額に応じて以下のように規定されています(下表は消費税別)。売買金額が400万円超のときは「売買金額×3.3%+6.6万円」の式で求めた額となります。
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  2. [不適切]。宅地建物取引業者が、貸借の媒介で受けることのできる報酬限度額は、貸主・借主を合わせて「借賃1月分+消費税」が原則です。双方から1カ月分ずつ受け取ることはできません。
  3. 適切。宅地建物取引業者は、買主や借主になろうとする者に対して、契約までに宅地建物取引士をして所定の重要事項を説明する義務があります。ただし、買主・借主が宅地建物取引業者である場合には、重要事項説明書の交付さえ行えば、その内容の説明については省略することができます。
    宅地建物取引業者は、宅地または建物の売買の媒介をするに際して、買主および売主の双方に対して、その売買契約が成立するまでの間に、売買の目的物に係る重要事項説明書を交付し、宅地建物取引士にその内容を説明させなければならない。2023.5-35-3
    宅地建物取引業者は、宅地または建物の売買の媒介をするに際して、買主および売主の双方に対して、その売買契約が成立するまでの間に、売買の目的物に係る重要事項説明書を交付し、宅地建物取引士にその内容を説明させなければならない。2019.1-35-2
  4. 適切。宅地建物の売買・交換の媒介を受けた宅地建物取引業者は、所定の事項が記載された媒介契約書に記名押印して依頼者に交付する義務があります。中古建物を媒介するときは、媒介契約書に「建物状況調査(インスペクション)を実施する者のあっせんに関する事項」を記載しなければなりません。
    建物状況調査(インスペクション)は、住宅ストックの流通を活性化するための取組みの一環として2018年に新設されたもので、一定の資格を有する検査員が建物を調査してその結果を書面に残すことで、買主等が安心して購入できるようにする仕組みです。
    宅地建物取引業者は、宅地または建物の売買または交換の媒介の契約を締結したときは、遅滞なく、物件を特定するために必要な表示や媒介契約の有効期間などの所定の事項を記載した書面を作成し、記名押印のうえ、依頼者に交付しなければならない。2018.1-35-1
    宅地建物取引業者は、2017年4月1日以降に既存の建物の売買または交換の媒介の契約を締結したときは、建物状況調査(インスペクション)を実施する者のあっせんに関する事項を記載した書面を依頼者に交付しなければならない。2017.9-35-4
したがって不適切な記述は[2]です。