FP1級過去問題 2023年1月学科試験 問35
問35
借地借家法の定期借地権および定期建物賃貸借契約(定期借家契約)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。- 存続期間を10年以上30年未満とする事業用借地権を設定する場合、設定契約時に契約の更新および建物の築造による存続期間の延長がなく、建物の買取請求権を排除する旨を特約として定める必要がある。
- 建物譲渡特約付借地権は、借地権設定後30年以上が経過し、その建物を借地権設定者が譲り受けることにより借地権は消滅するが、建物を使用している借地権者が当該借地権消滅後の建物の使用継続を請求したときは、建物の賃借人として当該建物を使用継続することができる。
- 定期建物賃貸借契約の期間が1年である場合、賃貸人が当該契約日の8カ月後に、初めて賃借人に期間の満了により建物の賃貸借が終了する旨の通知をしたときは、通知の日から4カ月経過後に契約の終了を賃借人に対抗することができる。
- 期間の満了により建物の定期建物賃貸借契約が終了した場合、定期建物賃貸借契約の更新は行われず、再契約は契約が終了した日から1年を経過しなければ締結することができない。
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正解 2
問題難易度
肢118.7%
肢266.4%
肢38.4%
肢46.5%
肢266.4%
肢38.4%
肢46.5%
分野
科目:E.不動産細目:2.不動産の取引
解説
- 不適切。10年以上30年未満の事業用借地権では、①更新がない、②建物買取請求権がない、③建物築造しても存続期間は延長しないの3点セットの特約をする必要がありません。
事業用定期借地権等の存続期間は10年以上50年未満ですが、借地借家法の規定上、10年以上30年未満の事業用借地権と、30年以上50年未満の事業用定期借地権に分けることができます。"30年以上50年未満"は、①契約更新がなく、②建物買取請求権がない、③建物築造による存続期間の延長がないことを特約で定めることにより定期借地権の効果を得ますが、"10年以上30年未満"は①~③に関して借地借家法の規定が適用外となるので何ら特約をしなくても同様の効果が生じるという違いがあります(借地借家法23条)。 - [適切]。建物譲渡特約付借地権は、契約で決められた時期に借地上の建物の買取りが行われることにより消滅します。建物の所有権は土地の所有者に移転しますが、借地権者だった人がその後も継続して当該建物を使用したいときには、土地所有者に請求すれば期間の定めのない普通建物賃貸借がされたとみなされます。土地所有者の承諾は必要ありません。このとき、当事者間の合意により定期建物賃貸借を締結することも可能です(借地借家法24条)。
- 不適切。契約期間が1年以上の定期建物賃貸借では、貸主は、期間満了の1年から6カ月までの間に借主に対し、賃貸借が終了する旨の通知をしなければなりません(借地借家法38条4項)。契約期間が1年ということは、契約日から6カ月以内に通知をしなければなりませんが、本肢は契約から8カ月後に通知をしたので期限後通知ということになります。このような期限後通知では、通知から6カ月を経過しなければ契約の終了を賃借人に対抗することができません(借地借家法38条6項)。本肢は「4カ月経過後」としているので誤りです。
- 不適切。定期建物賃貸借契約が更新されないという点は正しいです。しかし、定期建物賃貸借契約の再契約については何の制限もないので、当事者同士が合意して再契約すれば期間満了後に継続して住み続けることもできます。
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