FP1級過去問題 2023年1月学科試験 問41

問41

X株式会社(以下、「X社」という)は、X社の社長であるAさんの所有地について、賃貸借契約を締結して当該土地上に会社名義の建物を建設することを計画している。次の3つの方法のいずれかによりAさんの所有地を借り受ける場合、権利金の認定課税を受けない方法として適切なものはいくつあるか。なお、Aさんの所有地は、借地権の設定に際し、その設定の対価として権利金を授受する取引慣行のある地域にあるものとする。
  1. X社が、Aさんに対して通常の権利金を支払い、Aさんに支払う賃料は「通常の地代」とする方法
  2. X社が、Aさんに対して権利金をまったく支払わず、Aさんに支払う賃料は「通常の地代」とし、両者が連名で所轄税務署長に「土地の無償返還に関する届出書」を提出する方法
  3. X社が、Aさんに対して権利金をまったく支払わず、Aさんに支払う賃料は「相当の地代」とする方法
  1. 1つ
  2. 2つ
  3. 3つ
  4. 0(なし)

正解 3

問題難易度
肢127.9%
肢224.0%
肢336.6%
肢411.5%

解説

建物の所有を目的として土地の賃借では、借地権が成立することになります。借地権の設定に権利金を授受する取引慣行のある地域において、借地権の成立に対して権利金の授受がない場合には、借りた側が権利金相当額の贈与を受けたとみなして課税されます。これが「権利金の認定課税」です。

本問のように少なくとも一方が法人である借地権の設定において、「権利金の認定課税」を避けるためには3つの方法があります。
  1. 権利金を支払い、通常の地代を支払う
  2. 「土地の無償返還に関する届出書」を提出し、通常の地代を支払う
  3. 相当の地代を支払う
a~cすべてが「権利金の認定課税」を避けるための方法として有効です。したがって[3]が正解です。

※通常の地代 … 土地の底地部分の更地価格に対して年6%程度、相当の地代 … 土地全体の更地価額に対して年6%程度、「土地の無償返還に関する届出書」… 借地権の設定契約に将来無償で土地を返還する定めがあることを届け出るもの