FP1級過去問題 2023年1月学科試験 問48

問48

Aさんは、父親から建物の敷地となっている下記のX土地、Y土地、Z土地(借地権)を相続により取得した。X土地、Y土地、Z土地(借地権)の相続税評価額の合計額として、次のうち最も適切なものはどれか。
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  1. 2,640万円
  2. 3,300万円
  3. 4,140万円
  4. 5,820万円

正解 3

問題難易度
肢16.0%
肢216.7%
肢360.6%
肢416.7%

解説

【X土地】
個人間の土地の貸し借りで借賃のやり取りがある場合でも、権利金の授受がなく、その借賃が借り受ける土地の固定資産税等相当額以下にすぎないときは使用貸借に該当します。
使用貸借では借りている側の使用権の価額が0円なので、土地上の建物が自宅であるか賃貸用建物であるかにかかわらず、原則として自用地価額そのままで評価します。よって、X土地の相続税評価額は2,500万円です。

【Y土地】
Aさんは贈与を受けた貸家のために、父親の土地を無償で使用しているため使用貸借で借りていることになります。使用貸借で貸している土地は、原則として自用地価額そのままで評価しますが、Y土地のように、
  1. 既に第三者と賃貸借契約している建物の贈与を受けた
  2. その建物が建っている敷地を使用貸借している
  3. 相続時に贈与時の建物賃貸契約が継続している
という3つの条件を満たす場合には、例外的に貸家建付地として評価することになっています。このような取扱いとなっているのは、贈与前に成立した借家権による敷地利用権が建物の贈与後も存続しており、それにより敷地の処分や利用等が制限されるため、その分を自用地価額からの減額するのが相当だからです。

貸家建付地の相続税評価額は以下の式で計算します。
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 2,000万円×(1-60%×30%×100%)
=2,000万円×0.82=1,640万円

【Z土地】
少なくとも一方が法人である土地の賃貸借では、「土地の無償返還に関する届出書」を提出し、通常の地代を支払うことで、権利金の認定課税を避けることができます。「土地の無償返還に関する届出書」が提出されている場合、その土地の相続税評価は、貸主・借主側で以下のように計算します。
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Aさんの父親は「土地の無償返還に関する届出書」+通常の地代でC株式会社からZ土地を賃借していたので、相続税評価額は0円となります。

【相続税評価額の合計額】
3つの土地の評価額を合計して、

 2,500万円+1,640万円+0円=4,140万円

したがって[3]が正解です。