FP1級過去問題 2023年1月学科試験 問47

問47

相続税法上の債務控除に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢において、相続人は日本国内に住所を有する個人であり、相続または遺贈により財産を取得したものとする。
  1. 相続人が、被相続人の1月1日から死亡日までの所得金額に係る確定申告書を提出して所得税を納付した場合、その所得税額は債務控除の対象とならない。
  2. 相続人が、相続財産の価額の算定のために要する鑑定費用を支払った場合、その費用は、社会通念上相当な金額であれば、債務控除の対象となる。
  3. 相続の放棄をした者が、現実に被相続人の葬式費用を負担した場合、その負担額は、その者の遺贈によって取得した財産の価額からの債務控除の対象となる。
  4. 連帯債務者が2人(弁済不能の状態にある者はいない)である債務について、そのうち1人に相続が開始した場合、相続人が承継する被相続人の連帯債務の負担割合が2分の1であっても、当該連帯債務の全額が債務控除の対象となる。

正解 3

問題難易度
肢113.4%
肢214.4%
肢352.6%
肢419.6%

解説

  1. 不適切。被相続人の準確定申告により確定した所得税額・住民税額は、被相続人に係る公租公課として債務控除の対象となります。
    相続人が、被相続人の1月1日から死亡日までの所得金額に係る確定申告書を提出して所得税を納付した場合、その所得税額は債務控除の対象とならない。2021.1-46-3
    相続人が、被相続人の1月1日から死亡日までの所得金額に係る確定申告書を提出して所得税を納付した場合、その所得税額は債務控除の対象となる。2019.5-46-1
  2. 不適切。債務控除の対象となるのは、相続開始時に現に存在する被相続人の債務に限られます。相続財産に関する費用や相続登記や相続税の申告に要した費用は、相続人の債務であり発生が相続開始後ですから、債務控除の対象となりません(相基通13-2)。
    相続人が、相続財産の価額の算定のために要する鑑定費用を支払った場合、その費用は、社会通念上相当な金額であれば、債務控除の対象となる。2019.5-46-2
  3. [適切]。相続放棄をした人でも債務控除の適用を受けることができます。葬式費用は債務控除の対象ですから、相続放棄した者が遺贈により財産を取得している場合には、その負担額を債務控除として差し引くことができます(相基通13-1)。
  4. 不適切。被相続人が連帯債務者だった場合には、その連帯債務の負担割合に相当する額が債務控除の対象となります。1,000万円の連帯債務で被相続人の負担割合が2分の1だった場合、債務額の2分の1である500万円が債務控除の額となるといった具合です(相基通14-3)。
したがって適切な記述は[3]です。