FP1級 2023年1月 応用編 問55

【この問題にはが用意されています。読んでから回答してください。】
 Aさん(42歳)は、将来に向けた資産形成のため、上場株式と外国債券へ投資する予定である。上場株式については、東京証券取引所に上場している同業種のX社およびY社に興味を持ち、決算短信から作成した下記の〈財務データ等〉を参考にして投資判断をしたいと考えている。外国債券については、為替レートと利率等を勘案して米ドル建債券に投資するつもりである。
 そこで、Aさんは、ファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。

〈財務データ等〉(単位:百万円)
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〈米ドル建債券の概要〉
  • 利率(年率):4.5%(米ドルベース、年2回利払)
  • 残存期間  :5年
  • 単価(額面100米ドル当たり)および適用為替レート(米ドル/円)
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  • 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。

問55

《設例》の〈財務データ等〉に基づいて、次の①および②に答えなさい。〔計算過程〕を示し、〈答〉は百万円単位とすること。また、変動費は売上原価に等しく、固定費は販売費及び一般管理費に等しいものとする。

  1. X社の当期の変動費率が変わらずに売上高が10%少なくなった場合の営業利益はいくらか。
  2. X社の損益分岐点売上高はいくらか。
百万円
百万円

正解 

① 99,000(百万円)
2,800,000百万円-770,000百万円=2,030,000百万円
770,000百万円-176,000百万円=594,000百万円
2,030,000百万円2,800,000百万円×100=72.5%
2,800,000百万円
2,800,000百万円×(1-10%)=2,520,000百万円
2,520,000百万円×(1-72.5%)-594,000百万円=99,000百万円
② 2,160,000(百万円)
770,000百万円2,800,000百万円×100=27.5%
594,000百万円27.5%=2,160,000百万円

分野

科目:C.金融資産運用
細目:5.株式投資

解説

〔①について〕
売上高から営業利益を求める流れは次のようになっています。

 売上高-売上原価=売上総利益
 売上総利益-販売費及び一般管理費=営業利益

本問において、変動費は売上原価に等しいとあるので、変動費は売上高から売上総利益を差し引いた「2,800,000-770,000=2,030,000」です。また、固定費は販売費及び一般管理費と等しいとあるので、「営業利益=売上総利益-販管費」の関係より、固定費は売上総利益から営業利益を差し引いた「770,000-176,000=594,000」です。

売上高が10%少なくなった場合、変動費も10%少なくなることになります。これに対して、固定費は変わりません。10%少なくなった後の額は以下のとおりです。

 売上高10%減 2,800,000×(1-10%)=2,520,000
 変動費10%減 2,030,000×(1-10%)=1,827,000

求めた値を使って、売上高から営業利益を求めると、

 売上総利益 2,520,000-1,827,000=693,000
 営業利益 693,000-594,000=99,000

よって、正解は99,000(百万円)となります。

〔②について〕
損益分岐点売上高は以下の式で求めます。

 限界利益率=限界利益÷売上高
 損益分岐点売上高=固定費÷限界利益率

本問では「変動費は売上原価に等しく、固定費は販売費及び一般管理費に等しい」とあります。限界利益は「売上高-変動費」、売上総利益は「売上高-売上原価」なので、「限界利益=売上総利益」と考えることができます。また「営業利益=売上総利益-販管費」の関係より、固定費は「売上総利益-営業利益」で計算できます。

限界利益は売上総利益と同額の770,000、固定費は①で計算したとおり「770,000-176,000=594,000」、売上高は2,800,000なので、

 限界利益率=770,000÷2,800,000=0.275
 損益分岐点売上高=594,000÷0.275=2,160,000

よって、正解は2,160,000(百万円)となります。