FP1級 2023年1月 応用編 問54

【この問題にはが用意されています。読んでから回答してください。】
 Aさん(42歳)は、将来に向けた資産形成のため、上場株式と外国債券へ投資する予定である。上場株式については、東京証券取引所に上場している同業種のX社およびY社に興味を持ち、決算短信から作成した下記の〈財務データ等〉を参考にして投資判断をしたいと考えている。外国債券については、為替レートと利率等を勘案して米ドル建債券に投資するつもりである。
 そこで、Aさんは、ファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。

〈財務データ等〉(単位:百万円)
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〈米ドル建債券の概要〉
  • 利率(年率):4.5%(米ドルベース、年2回利払)
  • 残存期間  :5年
  • 単価(額面100米ドル当たり)および適用為替レート(米ドル/円)
    b2.png./image-size:490×60
  • 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。

問54

《設例》の〈財務データ等〉に基づいて、Mさんが、Aさんに対して説明した以下の文章の空欄①~④に入る最も適切な数値を、解答用紙に記入しなさい。なお、計算結果は表示単位の小数点以下第3位を四捨五入し、小数点以下第2位までを解答すること。また、問題の性質上、明らかにできない部分は「□□□」で示してある。

  1. 「X社とY社の財務データについて比較すると、総資産経常利益率ではX社の値が()%、Y社の値が□□□%であり、X社の資産効率のほうがよいといえます。その要因を、売上高経常利益率と総資産回転率の2指標に分解して比較すると、前者についてはX社の値が6.64%、Y社の値が5.29%、後者についてはX社の値が()回、Y社の値が□□□回であり、X社は、総資産回転率ではY社を下回っているものの、売上高経常利益率ではY社を上回っていることがわかります」
  2. 「X社とY社の株価について、PERを比較すると、X社の値は()倍、Y社の値は□□□倍であり、X社はY社よりも割安といえますが、PBRを比較すると、X社の値は()倍、Y社の値は□□□倍であり、X社とY社はほぼ同じ水準といえます」

正解 

① 7.65(%)
② 1.15(回)
③ 11.16(倍)
④ 1.44(倍)

分野

科目:C.金融資産運用
細目:5.株式投資

解説

〔①について〕
総資産経常利益率(ROA)は、企業が集めた総資本に対する経常利益の割合で「当期経常利益÷総資産×100」の算式で求めます。X社の経常利益は186,000、総資産は2,430,000なので、総資産経常利益率(ROA)は、

 186,000÷2,430,000×100=7.654…%
(小数点以下第3位四捨五入)7.65%

よって、正解は7.65(%)です。

〔②について〕
総資産回転率は、総資産に対する売上高の割合で「売上高÷総資産」で求めます。X社の売上高は2,800,000、総資産は2,430,000なので、総資産回転率(回)は、

 2,800,000÷2,430,000=1.152…回
(小数点以下第3位四捨五入)1.15回

よって、1.15(回)が正解です。

〔③について〕
PERは「株価÷1株当たり当期純利益」で求めます。X社の1株当たり当期純利益は当期純利益と発行済株式総数より「138,000÷200=690円」、株価は7,700円なので、PER(倍)は、

 7,700÷690=11.159…倍
(小数点以下第3位四捨五入)11.16倍

よって、正解は11.16(倍)となります。

〔④について〕
PBRは「株価÷1株当たり純資産」で求めます。X社の1株当たり純資産は純資産額と発行済株式総数より「1,070,000÷200=5,350円」、株価は7,700円なので、PBR(倍)は、

 7,700÷5,350=1.439…倍
(小数点以下第3位四捨五入)1.44倍

よって、正解は1.44(倍)となります。